2024.08.26──重い新靴

 軍の型落ち物で入手したパワードスーツはかなりの高性能を誇るが、性能に比例して操縦者の脳に大きな負担が生じるという欠点がある。

 だから、日頃なるべくこのスーツを使わずに仕事をこなすようにしている。スーツを使うのは、生身では行動不可能な事態に直面したのみだ。

 しかし同業者は日頃から常にそのスーツを着用し、あらゆる仕事をスムーズに完了している。正直なところ、そのスタンスが正しい。脳に負担は掛かるが、それに耐えきれないのはあくまで俺自身の落ち度だからだ。

 だから出来るだけ時間をかけ、このスーツありきの生活を心掛けようと思う。簡単な荷物の搬送、コソ泥の制圧に出来る限りスーツを使用していく。ちょっとしたことから始めれば、いずれはスーツを己の手足のように扱うことが出来るはずだ。以前使用していた簡易スーツがそうであったように。

 だがひとまず、今日のところは疲れた。今目の前にある搬送物は自力で運ぶとして、本日までは高性能スーツ君には部屋のインテリアとなっていてもらおう。

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