2024.08.24──はじめてのPC

 前職を辞めて少し経った頃、私は初めて自分専用のPCというものを買った。

 勿論、PC自体は小学生の頃からずっと使い続けてはきたが、いずれも家族の物か、学校の物であり、自分の私物としてのPCを私は今まで持ったことが無かったのだ。

 転職したい職種にPCは必要不可欠ということもあり、私は自腹を叩いて自分用のPCを購入したのだ。前職は忙しいばかりでお金をまったく使う暇が無くかった故、貯金に余裕があってこその思い切った行動だった(PCは10万とちょっとだったが、私には思い切ったことだったのだ)。

 手に入れたノートPCを使い、私は色々なことを新しく始めることが出来た。自分の好きなタイミングで小説を書くことが出来たし、デジタルイラストを描くことも、再就職の決め手となったポートフォリオを作ることも出来た。

 前職を辞してからの生活は、このPCと共にあったと言って良い。だが物は使っていくとガタがくるもので、私のPCもモニターに異常が出始め、終いには画面の下部が黒ずんで、そのまま戻らなくなってしまった。

 不調が出ても何かと言い訳をしながらそのPCを使い続けてきた私だったが、ついに新しいPCを購入する決断をした。今度はノートではなくデスクトップを買ったため、今回も個人的に思い切った行動ではあった。しかし、初めて自分用のPCを買おうと思った、あの時の決断に比べれば、まだ心に余裕があるかもしれない。

 今このテキストを打ち込むのにも使用している件のノートPCを、手放すことにあまり惜しい気持ちは無いかもしれない。しかし、このPCが無ければ当時の停滞した自身の状況を打破することは叶わなかっただろう。せめてもの感謝の気持ちを込め、ここにテキストとして遺させていただく。

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