2024.08.20──陳列の魔術

 商品の陳列というものが好きだ。

 観光地などに遊びに行った際、ふらりと土産物屋に立ち寄り、そこに綺麗に並べられた数々の品を眺める。それは土地の工芸品だったり、名産品やご当地キャラのグッズだったりするが、色とりどりの商品が所狭しに並んでいる様を見ると、何だか晴れやかな気分になり、終いには商品を一つ購入してしまう。

 だが不思議なのが、家に帰ってその商品を見てみても、土産物屋の中で見た時のような晴れやかさを得ることは出来ない。これは観光地に限らず、近くのデパートの雑貨売場でも似たよな心境になることがあり、私はこれを「陳列の魔術」と呼んでいる。商品単体が持つ美しさや利便性とは別にして、物を複数個並べたときのみ発生する、摩訶不思議な魅力があるのだ。

 だから私は、特に観光地に行った際は、気に入った店の商品の陳列の様子を、出来るだけ写真に収めることにしている(もちろん撮影が許可されている場所のみで)。現地で見た時の感動程ではないが、写真に収められた美しい陳列の様子を見ても、どこか、心が満たされるような気になるのだ。

 ただ写真を撮って帰るだけでは「冷やかし」になりそうな気がして、結局商品は買ってしまうのだが、陳列の写真と、手に持った商品を交互に眺め見ると、店に訪れた際の感動により近づけるような気もする。こうして、私の部屋は妙な雑貨で溢れ返っていくのである。

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