2024.08.14──ヒトデインパクト
流星群を観測するため、日付も替わった夜中に波頭で待機していた時のことだ。
担いできた天体望遠鏡を覗き込んでいると、夜空に動く光の球を捉えた。ついに流星群が来たと思えば、その球がドンドン大きくなっていく。こちらに近付いているとしか思えないのだ。
慌てた私は望遠鏡から顔を外し、荷物を持ってその場を立ち去ろうとした。だが改めて肉眼でそらを見た時、先ほど望遠鏡で見ていた物体が、隕石ではない別のものだということを知った。
それはヒトデの集合体だった。何百、何千匹にも及ぶヒトデがひとつの巨大な塊となり、青色の炎のようなものを上げながら、空より落下してきているのだ。
ヒトデの塊は沖の方へ落下し、大きな水飛沫と波を立てた。燃えていた青い炎が消えてわずかに煙が上がり、そしてまとまっていたヒトデ達は一匹一匹バラバラになり、海深くへと沈んでいった。
時間にして一瞬の出来事だったが、磯でヒトデを見る度に、私はその日のことを思い出してしまう。
そしてこのような考えも浮かぶのだ。今私達が知っている、海に暮らす奇妙な見た目の生物は、時折宇宙から遊びに来ている、ただの旅行者なのではないか、と。
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