2024.08.07──折紙アサシン
俺は業界の中でも特殊な得物を使うことで有名な暗殺者だ。
その得物とはズバリ……折紙である。
当然凶器として使うからにはただの紙ではなく、極細の金属繊維を織り込んだ特殊紙であり、折り曲げることによってナイフ並みの切れ味を得ることが出来る。
俺はこの特殊紙を色々な形に折って、数多くの標的を仕留めてきた。だが最近、ある問題が浮上してきている。俺の手並みがあまりにも鮮やかだったため、「凶器の折紙」がカタギの世界でも取り沙汰にされ始めたのだ。
特に紙飛行機、手裏剣の折紙は警戒されている。いずれも使いやすいからという理由で俺がよく折るものだが、凶器を警戒されていると仕事の成功率というものは著しく落ちてしまう。誰にも警戒されないような、新しい折紙を考えなくてはならない。
そんな訳で、俺は一時期ツルで何人も殺る羽目になったし、他にもウサギ、亀などを折って上手く警戒心を解きながら仕事をこなしてきた。
そんなことをしていると、今度は「殺人アニマルズ」などという都市伝説が生まれてしまった。こうなるとこれらの折紙もおいそれとは使えなくなる。
また新しい折紙のネタを考えなくてはならないが、また新たな伝説が生まれて終いではないだろうか。俺はそろそろ、この得物を畳むことも検討に入れている。
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