2024.08.05──愛情証明殺人
貴方が亡くなる夢を見た。私の目の前で何者かに殺される夢を見た。
最近、自分は貴方のことを本当に愛しているのか分からなくなる時がある。貴方は爆薬を沢山積めた紙風船のような人で、どんな時にどんな事がきっかけで爆発するか分からないところがある。そんな貴方と付き合っていく不安から、心の中で貴方に対する罵倒のような言葉を浮かべてしまう日が多くなったようだ。
それが自分の本心だとは思いたくない。頭の中に生まれたもう一人の悪魔のような人格が、私に貴方を嫌うように仕向けているのだと、そう考えて心に生じた罵倒を私は必死に飲み込んでいる。
だけど貴方の言動に振り回され、一日のほとんどを心配と不安で過ごした日なんかは、その無駄に過ごした時間の虚無感に失望し、や貴方への愛情の有無を疑ってしまうこともある。
そんな折りにあの夢を見た。私は貴方が殺されると分かっている上で、それを止めることが出来なかった。貴方は私の元から消えて、私は家で一人になった。
一人になった私がまず考えたことは後悔だった。その次は貴方をあのような形で失った後の世界を生きていくことに対する恐怖であった。
恐怖心から私は目覚め、貴方がまだ生きているこの世界に戻って来て、私は大きな安堵感を得た。
なんと情けない姿だろう。私は貴方が殺されたことで、貴方に対する愛情を認識出来たのだ。
そして爆薬が詰まっているのは貴方だけではなく、私自身の心にも仕掛けられているのだと、私は最近になって理解したのである。
貴方のことを純粋に愛するためには、その心の爆弾を解除しなければならないと、私は決心を新たにするのであった。
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