2024.07.12──スタイリッシュ年取り
歳を重ねる時はいつだって試練が付き物だ。
今年はフリスビー状に平らに固く焼き上げた誕生日ケーキを、蝋燭を刺した状態で遠くに投げられた!
新しい歳を迎えるにはそのケーキが落下する前にそこに蝋燭の火を全て消さなくてはならない!
全力で追いかける僕。初動で大きく出遅れたが、ケーキは減速を始めていて、段々とその距離が縮まっていく。残り10m! 残り5m!
あわや地面に接触する寸前で僕はケーキをキャッチ。すぐにその上の蝋燭に息を吹きかけて火を消した。
これで安心と思いきや、僕はある違和感に気づいた。僕の今年の年齢に対して、ケーキ刺さっている蝋燭の本数が1本足りない。僕は後ろを振り向いた。そしたら、空中で1本の蝋燭が火をたなびかせてクルクルと回転しているではないか! 空中を突き進むケーキの衝撃で抜けてしまったのだ!
僕はケーキを携えたまま、その場でバク転宙返りをした。顔を反らし、蝋燭を目の照準の中に入れる。
鍛えた腹圧によって、息を弾丸のように吐き出した。それは火を掠めるも消すには至らない。万事休すか!
いや、まだ手はある。今度は手にしたケーキを蝋燭に向かって投擲!
ケーキは蝋燭の側を高速で横切り、ついに火を消した! だが勝負はまだ終わりではない。僕は地面に着地した勢いでもう一度大きく跳躍! 投げたケーキを飛び越え、その進行方向に降り立った!
そして遅れて到着したケーキを口で受け止め、その勝利の味を堪能したのである。
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