2024.06.24──魔を退ける者㉔
ミ・ナ・ライブーがさらに三本もの触手を鞭のように振り下ろすが、
さらに五本の触手が迫る。土屋はそれを切断する。さらに十本。切断。異形のゾンビと退魔師との戦いは高速で行われ、地面にはヒクヒクと脈打つ触手の残骸がどんどん山積みになっていく。
肩の怪我を押さえながらその戦いを見守ることしか出来ない
ミ・ナ・ライブーから伸びる触手は先程から切り刻まれ続けているにも関わらず、まったく減る様子がない、むしろその芋虫のような身体からどんどん新しい触手が生成されているのだ。土屋のナイフ捌きがいくら鮮やかと言えど、このままではやがて体力が尽き、増殖した触手に追い詰められてしまう。
異形の怪物であるミ・ナ・ライブーにも、人間らしき部位はある。頭部だ。そこを破壊できれば、あのバケモノを倒せるのではないか? 土屋もそれに気付いているが、触手が邪魔で中々頭部に辿り着けないのではないか?
となると、己もただ見ているというわけにはいかない。梨本は肩から手を離し、地面に落ちている石を拾って投擲した。
【っ!】
投石は触手を弾き、ミ・ナ・ライブーの胴体に命中した。触手を何本切られても平気な顔をしていたミ・ナ・ライブーが、そこで初めて苦痛の表情を見せる。
「よし! いけるぞ!」
肩の傷から流れる血は気にも止めず、梨本はさらなる攻撃のための石を拾った。
「が……!?」
次の瞬間、地面から突如飛び出してきた触手が、梨本の首に絡み付いた。
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