2024.06.20──魔を退ける者⑳
それを謹んで受けた土屋だったが、食事等が終わるとすぐに気持ちを切り替え、テーブルに地図やノートを広げ、酒井が話すゾンビ被害の詳細についてまとめ始めた。
酒井は一般人であるが、退魔師の仕事については既に理解があったため、土屋は普段よりもスムーズに情報を収集することが出来た。
今後の方針が大体まとまったところで、土屋は出された珈琲を飲みながら、ふとした疑問を口にした。
「そういえば、酒井さんはご両親と三人で暮らしていると聞いてますが、お父様は?」
「ああ。居るんだけどちょっと風邪を引いててね……2階の部屋で休んでるんだ」
酒井はその質問が飛んでくると分かっていたように、すらりと土屋に答えを返した。
「気にしないで」
その夜。1階の寝室を譲ってもらった土屋だったが、眠ることが出来なかった。
土屋は窓辺に立ち、外の田んぼの方から聴こえてくる虫や蛙の鳴き声を耳にし、ある一つの事柄だけを考え込んでいた。
翌日。朝早く駆け付けた応援の警察官達により、土屋はその身柄を確保された。
罪状は、殺人。
昨日酒井からその所在を聞き出した、年老いた父親を殺した咎によるものだった。
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