2024.06.04──魔を退ける者④
当時、退魔師見習いだった土屋は、「退魔物質」精製のために必要な資格である甲種危険物取扱者の勉強のため、自宅近くの図書館に通っていた。
酒井はそこの司書をしており、毎日顔を合わせる内にお互い声を掛ける間柄となり、やがて図書館にいる間はずっと話を続けるような関係になった。町中のほとんど客も入らない小さな図書館故、許された時間だったのだろう。
その後二人はプライベートでも時々会うようになったのだが、土屋が退魔師として正式に採用されたことと、酒井が地元のN県に帰ることになったことから、以前のように頻繁に出会う機会はほとんどなくなってしまった。
そしてある日、退魔協会の集会所のホワイトボードに一枚の依頼書が貼り付けられた。依頼人の名前を見て、それが自分の想い人から出された救難信号だということに土屋は気付いた。
先輩退魔師達を押し退け、土屋はその依頼書を手にした。それが、退魔師としての土屋の初任務だった。
そしてその任務を通し、土屋と酒井の交際は終わりを迎えることになる。
新幹線の車内アナウンスを耳にし、座席に背を預けていた土屋は目を覚ました。
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