点ミニッツ

2024.05.15──地上と空と

　人類は滅亡の危機に瀕していた。それも二つの。

　一つ目は、有史以来最大の活火山が太平洋上に出現したこと。海底噴火から始まったこの火山は異様な早さで隆起を続け、今や海上に浮かぶエベレスト級の大火山にまで成長した。そして調査の結果、地下に巨大なマグマ溜まりがあることが分かり、これによって爆発的な噴火が起きると、地球全体に甚大が被害が及ぶと予想されている。

　二つ目は、宇宙より襲来した強大な侵略的外星人の存在だ。こいつらは現代の地球文明よりも遥かに発達したテクノロジーを保持しており、破壊力の完全な分析が不可能な兵器を多数搭載した宇宙艦を数多に引き連れ、太陽系の他の惑星に拠点を作りながらいよいよ地球に攻め入らんとしている。

　地上と空とから来る脅威を前に、地球文明は為す術が無かった。世界は終末の空気が漂い始め、あちこちの国でパニックによる暴動が起きた。

　そして、ついにその日がやってきた。

　外星人達が地球上に飛来し、侵略母艦の巨大な影が地上を覆った。

　それに呼応するように、太平洋上の巨大火山がついに噴火。膨大な噴射物を空中に放った。

　火山の放噴射物は外星人達の侵略母艦を貫き、これを完全に破壊した。

　今では火山の噴火活動もすっかり落ち着き、世界の国々は太平洋上に浮かんだこの島の領土問題について日夜議論を交わしている。