　決められた番号を打つと、別の場所に転送をしてくれる装置。「旅行電話」。

　これが発表された時、世間は革命的な発明だと多いに賑わった。車や電車、飛行機を超越した、画期的な移動法だと、大きな期待が寄せられた。

　だが、これが一般公開されてすぐ、多くの人間が行方不明となった。間違った番号を打ち、見知らぬ「どこか」へと飛ばされてしまったのだ。

　本来、登録していない番号を打てば旅行電話は動作しないはずだったが、開発者が知らない間に「何者か」によって未知の番号が勝手に登録されていることが調査によって判明し、旅行電話は使用不可となり歴史の表舞台から消え失せた。

　我々はその旅行電話を用いて旅をする者達。

　旅行電話の開発者アーノルド・ダイヤリーは製作会社を畳み、まったく別の組織を作り出した。「何者か」が登録した│未知の番号（エラーコード）を敢えて打ち込み、それによって飛来した世界から遭難者を見つけ出す組織を。

　我々はダイヤリーによって厳選されたオペレーターだ。人々を正しい番号へ誘うため、我々は今日も未知の領域へ電話を掛ける。

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