2024.02.18──ひとり作業
集中して作業を行うために、私はレコードに針を落として、カップに珈琲を注ぐ。お気に入りの音楽が鳴り響く中、珈琲から薫る香ばしい匂いを堪能しながら原稿用紙にペンを……用意したところで玄関のチャイムが鳴った。モニターを確認すると宅配便のようだ。
私は音楽を止め、玄関で宅配員を手早く相手し、荷物を部屋に持ってきた。先日オークションで落とした、古いレコードだ。作業は中断されたが、中々良いタイミングで届いてくれた。私は蓄音機に置いたレコードを届いた物と取り替え、再び針を落とした。待ち焦がれていた音が部屋に反響し、モチベーションが上がる。私はカップを傾け、舌で苦味と酸味を堪能すると原稿に向き合……ったところで再びチャイムが鳴った。モニターを確認すると、隣の部屋の住人だった。
私は音楽を止め、玄関で住民を手早く相手し、部屋に戻ってくる。音楽が五月蝿いとのことだった。築三十年にもなるアパートだからこういうトラブルには慣れたものだ。音を少し押さえてからふたたびレコードに針を落とし、冷えてしまった珈琲をレンジでチンしてから改めてペンを握っ……たところで急に部屋が大きく揺れた。最初は地震かと思ったが、窓から外を見てみると、巨大なワニのような怪獣が町を闊歩していた。
私は音楽を止め、玄関から外に出て怪獣を手早く相手し、部屋に戻ってきた。しかし先ほどの振動で珈琲はこぼれ、蓄音機は床に落ちて針が折れてしまっていた。どうやら今日はこれらの後片付けで一日が終わりそうだ。私はペンと原稿用紙を仕舞い、作業に移った。
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