2024.02.15──南極短剣帯
「南の端の氷の大陸に、幾万もの短剣が眠る」
そのように記述された古文書は、南極から海流に乗って流れてきた数世紀も前の船の中から発見された。
数年後、その古文書に示された地図を便りに一人の探検家が南極に上陸。そして分厚い氷の大地から一振の「短剣」を見つけ出した。
短剣には古今東西から発掘されるあらゆる宝石で装飾がされており、さらに刀身は、今まで見つかったことがない未知の金属で作られていることが判明した。探検家は短剣を国に高値で買い取られ、億万長者となった。
その日から、世界中の探検家が南極に押し寄せ、未だ埋まっているとされる他の短剣を探し始めた。
古文書が発見されてから二十年。南極大陸からは五百本以上もの短剣が見つかり、いずれも最初の一振同様、未知の金属で作られていた。
短剣のほとんどは大学や博物館へ送られ、短剣は一般の人間にも知られることとなった。
世界中で、短剣に魅せられた人間の多くが探検家になり、南極に向かった。今日も一人、強化ガラスの中に展示された短剣を、目を輝かせて眺める少年が居る。彼もいずれは南極に行くのかもしれない。何十万人もの探検家により氷が削り取られた、穴だらけの氷の大陸に。
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