2024.01.17──ガス欠ログ
イオン燃料の残りゲージを気にしながら、俺は船をここから見える小惑星のいずれかに不時着させる算段を立てている。
馴染みのエネルギーストアが近くの超新星爆発に巻き込まれて1年前に消滅したことを知ったのは、俺がそのストアがあった座標にたどり着いた時だった。(これもまた放送局が爆発に巻き込まれたからなのだが)最近情報の遅延がひどいとは耳にしていたが、その被害を自分自身が受けるとは思わなかった。それもかなり致命的な形で。
その後、燃料を出来る限りケチりながらエネルギーストアを求めて暗黒空間を何百万キロも進んだが、ここいらの文明の痕跡は全て宇宙の理により塵となってしまったらしい。
一週間彷徨い続け、代わりに見つけたのがこの小惑星地帯だ。偵察用衛星を飛ばしたところ、大きめのものには大気があるらしい。天の助けだ。
その一つに狙いを定め、接地面までの距離、角度の違いを計算する。
着地までのフローが出来上がると、俺は覚悟を決めた。辿り着いた先の惑星で燃料となるイオンが手に入るか分からないし、呼吸をするのに適した大気状態であるかはもう少し近づかなければ分析出来ない。
だが今は、この船をあの星に着陸させる。それを目標に進んでいくのみだ。作ったフロー通りにこなせば、着陸までには82時間。俺は操縦桿を握り、船を動かし始めた。
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