2024.01.12──ボトルバトル
波打ち際を歩いているとボトルメールが漂着しているのを見つけてそれを拾おうとしたらセキュリティシステムが作動したため崎早利絵は休日にも関わらず緊急ミッションにしか用いない装備を取り出す羽目になった。
独裁政権下にいる国民が政府の目を潜り抜けるためにあらゆる手を使って外の国に助けを求めているという話は先日上官より耳にしていた早利絵だったが今まさにその一つを目の当たりにするとは朝起きて朝食を食べ締めにコーヒーを飲んでいた頃は想像も付かなかった。
ボトルメールは早利絵を射程に捉えるとその身を変形させ実弾銃にレーザー銃に硝子製のワイヤーとカッターを装備して早利絵に容赦なく攻撃を浴びせた。仕事柄その手のトラップに慣れ親しんでいた早利絵だからこそ寸前で躱すことが出来たが先週自宅から電車で二時間も掛かる所の高級ブティックで買った春らしい爽やかな色合いのワンピースはズタズタにされてしまいその下に来ている通販で買った十組2,000円のTシャツを工場から漏れだすガスや化学物質で汚染された大気の下に晒す羽目になってしまった。
それだけ重要な情報をこのボトルメールは握っているのだと決意を新たにした早利絵はボトルメールの繰り出す実弾とレーザーとワイヤーとカッターを躱しながらなんとか懐に潜り込んでボトルメールのセキュリティコードを停止させることに成功し無力化したボトルメールは元のボトルメールの姿に変形しそれを早利絵は十組2,000円のTシャツの中に仕舞い込みスマートフォンで職場に向かうための電車の時間を調べるとこの臨時任務にボーナスが出てあのワンピースを買い直せればいいのになど考えながら砂浜を後にするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます