第16話 戦いは続く

味方陣地に帰還したマーシャル隊は隊長の茜以外は休息を取った。茜はハムバッカー伯爵のもとに帰還した旨を報告しに行った。ハムバッカー伯爵の天幕に行くと、天幕の中にはハムバッカー隊所属の貴族が集まって何やら議論していた。茜は議論中のハムバッカー伯爵に声をかけた。

「マーシャル隊帰還しました。損害は軽微、死者、負傷者はいません」茜は得意げに報告した。

「マーシャル男爵、よくやった。無線が使えない状況で信号弾による合図は見事だった。おかげで作戦は成功した。」

「他の二隊は帰還しましたか?」気になっていることを聞いてみた。

「他の二隊はまだ帰還していない。レプの支配地域に取り残されていると思われる。だが心配するな、必ず救出する」

 ハムバッカー伯爵の話によれば、偵察隊を援護するための奇襲は思った以上の戦果を上げたため、レプが自らこの地を退却する前に再攻撃を仕掛け、偵察隊を救出するための作戦を急遽立案中であると言う。天幕をでた茜は忙しく働いている騎士の姿を見かけた。

 茜はこれから戦う騎士のために、持ってきたホルンを吹いた。曲目は子供の頃見たアニメの主題歌。その曲はカノン進行のセンチメンタルな曲で、戦場で演奏するような曲ではなかった。演奏が終わったあと茜は、

「月に代わってお仕置きよ」と言いそうになったがそのセリフはこの場で言うにはふざけすぎな気がした。演奏した曲で騎士に厭戦気分が出てたらやばいので、別の曲を演奏した。その曲は、ある映画のテーマ曲で、ムチを持った考古学の教授が世界の財宝、秘宝を荒らしまくって、その財宝、秘宝を人の目につかないところに隠していく映画だった気がする。流石にこの曲なら騎士たちもハイテンションになるだろう。

 演奏が終わった頃、作戦会議が終わったようで、ハムバッカー伯爵の天幕から貴族がでてきて自分の隊に集合をかけていた。いよいよレプをこの地から追い出すための戦いが始まる。攻撃隊の先頭にいるハムバッカー伯爵の声が聞こえた。

「相手の人数に合わせろ!」

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