第13話 助攻

「閣下、マーシャル隊が降下したと思われる地点から信号弾の打ち上げを確認しました」伝令の従士がそう言った。

「色は?」ハムバッカー伯爵は問いただした。

「青、緑、黄、赤の四色が同時に打ち上げられました」

 ハンバッカー伯爵はしばらく考え、レプの陣地内では通信が使えないことを悟った。また、敵陣地内でマーシャル隊の捜索が始まると考え、敵に多少の混乱が起きると予想した。

「よし、全騎士に伝達、レプ陣地に突撃! 攻撃じゃなく突撃だぞ」ハムバッカー伯爵の決断は早かった。

 ハムバッカー隊は伝令が届いた部隊から順に敵陣地へ突撃していく。装甲車とホバーバイクの群れがレプの陣地に襲いかかった。レプの陣地に到達したヴァンパイアはダマスカスブレードでレプの頭部を切り裂いて行った。ヘルメットも被っていないレプを行動不能にするには頭部を攻撃することが一番効率が良いからである。

 装甲車の砲撃は複数台でレプの部隊を中央に集めるためを両脇から攻撃した。そこへ、ホバーバイクの群れが飛び込みレプをダマスカスブレードの餌食にしていった。また他の装甲車はレプの装甲車、輸送車、レプ製ホバーバイクを攻撃して反撃の目を潰して行った。

 レプの注意が先ほどの信号弾のある方向に向いていたため、ハンバッカー伯爵隊の奇襲突撃は成功をおさめた。

 奇襲を受けたレプは統率を欠いた退却を始め、その背後を騎士団がふたたび襲った。

 レプの死体で埋め尽くされた陣地には、攻撃に参加した各隊のバナーや騎士団のカラー(軍旗)が掲げられていた。

 攻撃がひと段落するとレプの反撃に備え、前面に装甲車部隊が並び、後方には徒歩の騎士、その両脇にはホバーバイクが配置された。騎士たちは空いた時間で血液パックを啜り始めた。処女の血とプリントされたものが男性には人気だった。中身がプリントどうりかは保証の限りではないが。

「こちらの被害報告はまだか? 補給状況も忘れるな。歩哨を多めにしろ。偵察も出せ」ハムバッカー伯爵は戦闘が終わっても休む暇がない。

「その後マーシャル隊から信号弾は上がったか?」

「最初の信号弾以降、打ち上がった信号弾はありません」ハムバッカー伯爵は報告を聞いて安心した。信号弾を打ち上げないのは作戦が順調に進んでいる証拠だろう。

「信号弾が上がったらすぐに知らせろ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る