第18話 クエスト選択
(取り敢えず、ワシが独断で決めた候補があるから。それで現状最も可能なクエストを話し合おうと思う。)
(異論はありません。)
リルリルドールが皆を代表してラックに返事をした。
ラックは自分が精査したクエストを読み上げた。
ラック厳選クエスト
世界一周クエスト
ラックが拠点からぐるりとこの星を一周する。
但し、指定している地域に住むクエスト用モンスターを討伐しなければいけない。
それもラックを指定戦闘エリア内に入れておかないと討伐とはみなさない。
民の誕生クエスト
ガチャでも、現存生物でも、文明を作れるレベルの知能を持つ生物を誕生させる。
文明レベルは都市国家レベルである。
村レベルでも民の税収を獲得する事は可能だが、このクエストクリアとはみなさない。
配下のレアリティ上昇クエスト
配下のレアリティを一つ上に上昇させる。
この三つがラックが今、出来ると判断したクエストである。
因みに、その他のクエストは森林創造や海誕生、酸素濃度上昇など現状100%ガチャ結果に頼らないといけないものなどで省いたのである。
(この中だと一番現実的なのは世界一周だと私は判断します。)
(そう?レアリティ上昇の方が良いんじゃない?)
(ヒヒヒ、アリアドネとワシが手を組めば民の誕生の方が簡単じゃ。)
ペンサー、リルリルドール、ヤーミの順で発言したが、見事に意見は分かれた。
他の者達は3人の意見を聞きながら自身が最も役にたつクエストを選ぼうと考えていた。
3つとも時間をかければ達成は可能だろう事は全員一致での意見だが、3つ同時に進行するのは不可能である事も分かっていた。
だからこそ、ラックに自身の力を示せるクエストを選んで貰える為に慎重かつどの3体の意見を支持するかが肝だった。
ラックは意見が出尽くすまで静観するつもりである。
カーンとコングの音が三体の頭に響いた。
(世界一周の方が一番現実的だ。民の誕生は他のクエストを進めながらボスのガチャで文明が出てくれるのを祈っていても良いだろう。)
(それはレアリティも同じ事でしょう。今はより地盤を固めれる場所を選ばないレアリティの方が良い。レアリティが上がる内に主人様の実力も上がっているわ。その方が世界一周もやり易くなるわ。)
(ヒヒヒ、お主ら、本当にラック様の事を分かってないの。あのお方はガチャ運が悪くて縛りをつけておるのじゃぞ。数多のガチャの中から文明や民に関するものが当たるなんて天文学的期待値じゃ。地盤を固めるという意味でもこの星に文明と税収を確保する方が確実じゃ。)
バチバチと火花を飛び散らかす三体の意見は平行線を辿っていた。
三体は己の意見に固執はしていなかった。相手の意見の方が正しいと思うなら譲るつもりでもあった。
配下が考えないといけないのはラックの利益になる行動である。己の利益のためだけに固執する行為は配下としての役割を理解していない無能の烙印を押す行為に他ならない。
(リルは理解しているのか?レアリティを上げるのはレアリティが高い程難しくなる。最高レアであるお前達、姉妹を抜いた場合、レアリティを上げれるのは私含めた8体だ。私たちの中でZ Rのヤーミはより難しいとして7体の中で誰を上げるつもりだ。)
ペンサーの言う通り、NがRに上がるのとRがSRに上がるのとでは格段に難易度が変わる。
それがSSRからZ Rになるなんて格が一つ違うどころ話ではない差があるのだ。
クルの恩恵はレアリティ上昇しやすくする部類の恩恵だが、それでもこの壁を壊すのも乗り越えるのは不可能に近いものがあった。
そんな事は百も承知だとリルリルドールは鼻を鳴らして言った。
(私にもこれを選んだ理由があるのよ。私は私達が召喚されてからずっと不思議に思っていたのよ。)
リルリルドールは召喚されて全員のレアリティを見て不思議に思っていた。
一体だけ明らかにレアリティが合っていないものがいると長年の経験と本能が言っていた。
(クマ。アイツならもっと上のステージに立てる格がある。)
(え?)
リルリルドールの発言に誰でもないクマ自身が一番驚いていた。
ダイヤと同じくまだまだ若い自分は実力がみんなに比べて下である事を自覚しつつ召喚されてから悩み研鑽を続けてきたつもりだった。
前世の様に己を犠牲にしないと誰も守れないなんてもう嫌だった。2度と誰かと悲しみをのこして自分で死にに行くなんて事を絶対にしないと誓っていたが、それでも配下トップであるリルリルドールにそんな評価をされていたなんて思ってもいなかった。
(私は自分の子供の成長も、後輩の成長も見守ってきたわ。だから、分かるのよ。相手がどれくらいのステージに立てる格を今持っているのか、どうすれば育っていくのかを何となくだけど分かるわ。そんな私が断言しているのよ。クマは必ずレアリティを上げれるわ。)
白熱する討論の中、此処でまた新しく意見が投げられた。
(私はその意見に反対ですわ。)
(何ですって?)
それは妹のラロラロドールだった。
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