第16話 魔性の宝石
フェニックスを倒した4体はその後、あのフェニックスを瞬殺した事に気がついた他の生物は4体を警戒して自分達の方から避ける様になった。
だから、何事もなく目的地まで着く事ができた。
(隊長、此処が最大のマグマ溜まりがある場所ですか。)
(あぁ、間違いない。この付近に流れているマグマの中で一番魔力が濃いのは此処だ。)
ペンサーは魔力探査をしてこの地帯にあるマグマ溜まりの中で特に魔力が濃く最大のマグマ溜まりを探し当てた。
ダイヤもそのマグマを一舐めしてみると明らかに味が格段と違っていた。
高級品というわけではないが、良品果汁100%のジュースを味わった時みたいな味わいが口の中に広がっていた。
(良いマグマです。これなら最高のアクセサリーが出来ます。)
ダイヤはそう言うとラロラロドールが背負っている宝箱から宝石とある物を取り出してマグマの中に入って行った。
そのまま入ると宝石とある物が溶けてしまう為、ダイヤはそれらを体内に入れて溶けない様に温度調整した。
(此処までは問題ない。でも、此処から先はさらに温度が上がるから注意しないとね。)
(ダイヤ、此処からは魔力濃度と距離が遠くて念話が不安定になる。魔力探査でもマグマ溜まりの中がどうなっているのか、俺でも分からない。だから、少しでも危険を察知したら急いで上がって来い。良いな。)
(ラジャーです。)
この道中でも遠くで岩石をマグマに浸かりながら啄む小柄なフェニックスの姿や小型の魚をを食べているフェニックスの姿がチラホラ見えていた。
この地帯には少なくてもフェニックスとデザートフィッシュが適応している事がわかった。
マグマに棲む様になった事からマグマ溜まりにも生息している可能性が高い上、魔力濃度が高いことからより強力な生物に強化されている可能性が前世の知識からペンサーは予測していた。
元からSSRという高レアリティの原生生物が強化されているとなると、危険性はZ Rになっている可能性もあった。
その場合、相性にもよるがダイヤの手に余るものだとペンサーは思っていたが、ダイヤにはその事が伝わらない様に隠していた。
負けず嫌いのダイヤなら多少危険を感じても逃げずに戦うというのは想像出来た。
(相変わらず、隊長は器用ですわね。)
(あの年頃なら多少の危険でも痛い目を見た方が私は思うわ。)
トナカイRX姉妹にはペンサーが隠している事はバレバレだった。
前世でもそんな器用な事をする者はいなかったわ、という妹に対して姉は甘やかし過ぎるのはいけないわと注意した。
やはり規格外の姉妹だとペンサーは思った。
(これは予想外です。・・・こんな巨大な魚がいるなんて・・・)
マグマ溜まりに到達したダイヤの目に飛び込んできたのはゆったりと泳ぐ10メートル超えの巨大な魚だった。
その巨体に反してダイヤの危機察知には何も警笛がならない為、温厚なんだと察した。
ラックが見たらウバザメ見たいな魚だなと感想を抱くだろう。
温厚だとしても此方が作業している間に何かあって暴れ出したら、あの巨体にこの場所が制限されたマグマ溜まりでは避けるのは難しくなる可能性があった。
少しでも危険を防ぐために、より深くまでダイヤは潜った。
(此処ならあの魚が暴れても安心ね。)
ダイヤは安心して作業できる場所を見つけると、体内にあるある物を取り出した。
(流石、主様のダークマターね。この温度でも蒸発すらしてないわ。)
マグマ溜まりのダイヤが居る地点の温度は3000度を優に超えていた。
そんな場所でもラックの鉄をダークマター化させた物は溶けてなかった。
通常なら気体になる程の温度だが、ダークマターになる事によって融点も変わっていた。
ダイヤはそのダークマターを手で器用に加工し始めていた。
ダークマターはみるみるうちに糸状に引き伸ばされていき、鉄糸となった。
そこにダイヤは出来た鉄糸を体内にしまうとマグマ溜まりで溜め込んだ温度とマグマ溜まり内の圧力で鉄のダークマターはダイヤモンドへと変化し始めていた。
鉄ダークマターの特徴はその優れた加工性があった。
但し、その特徴を発揮するには超高温内にいないと加工性は皆無になって硬く伸びず全然溶けないというダークマターだった。
ダイヤは黙々と持ってきた鉄ダークマターを鉄糸に加工しては体内に仕舞い込む作業を続けた。
そして、ダイヤは次の工程に移った。
(やっぱり、この宝石は前世で見た事がある。なんかお父さん達を殺しにきた人達が持っていたのによく似ている。)
金剛竜は鱗も骨も皮すらも宝石として高い価値がある為、よく狩猟対象にされていた。
その為、狩猟者に付け狙われる事は良くあったが、その頑強な肉体は何者も傷つける事はできず、大抵は墓荒らしの様に老衰か、病死した死体から掠め取る事が殆どだった。
そんな中、愚かにも真正面から狩りにくる馬鹿もいた。
ダイヤはそんな馬鹿の遺体にあった綺麗な石で遊んだりしていた。
ラック達が磨いた宝石の中にその石に似ている物があったのでダイヤは持ってきたのである。
その宝石は初めてマグマに呑まれた時、マグマによって表面が溶けて中から更に綺麗な紅く光る宝石が出てきたのをダイヤは見たのである。
(溶けてきている。前世のより溶けるのが遅いけど少し見えてきている。)
ダイヤが手に持つ宝石は溶け始め、更なる姿を見せ始めていた。
紅く光るその姿はルビーの紅さとは全くの別物、まるで鮮血の如く赫く輝いていた。
その魔性の光にダイヤは虜になりそうになったが、気合いで耐えた。
(危ないですね。これは想像以上にやばい物でしたが、その分高値もつきそうですわ。)
これは大変ラックも喜ばれるとダイヤは確信して思わず笑みを浮かべてしまった。
その宝石を完全にダイヤモンドへと変化した鉄糸に通してネックレスを完成させると、あとは他の宝石でネックレスを作るとラックに褒めてもらえるとはやる気持ちを抑えながら浮上した。
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