第30話 新たな危機

 悲しみのふちに落ちながらスマホを見る。所謂ストレス解消だ。とはいえ、気分は全く良くならない。


「はあ、ティア」


 そんな時に一つのニュース通知が来た。見ると、爆発で今見つかってるだけでも、三四三人が亡くなったというものだった。行方不明者はまだおり、死亡者はまだ増えるという事らしい。

 場所は明らかにあの倉庫だ。

 ただもうティアは死んでいる。俺にとっては全く関係のないことだ。



「ちょっといいかしら」


 そんな時に、ルティスが飛んできた。


「……どうしたんだ?」


 その時、ティアが見えた。ルティスが今抱えているのだ。


「そうか……ティアの亡骸か……」

「いえ、生きてるわ」

「え? おい、ルティス! どういうことだよ!?」


 俺はそうルティスに問う。生きているのか? え? 死んではいないのか? そう思い、顔が明るくなろうとしたが、今ルティスが抱えているティアは、見た目からして重症なのは間違いない。まだ油断してはいけないだろう。


「ティアは……」


 ルティスが話し始めた。


「死んでないわ。でも、傷がひどくて、今は女神特有の回復力で何とかなっているけど、これは下界の医療では回復不可能だわ。とりあえず今から神様に見せに行く。それで大丈夫?」

「ああ。俺もついて行っていいか?」

「え?」

「いや、迷惑だったらいいんだが、俺も一応こう見えてティアの彼氏だ。ついて行きたい」

「……分かったわ。神様もたぶん許してくれるだろうし」

「じゃあ」


 そして俺は天界へと向かうことにした。そしてルティスが手を差し出す。俺が「なんでだ?」と言うと、ルティスが言った。


「手をつないでいて、ワープするから。もし手を話したら、空間のはざまに閉じ込められることになるから覚悟しといてね」

「分かった」


 しかし、これは絶対に手を離せないな。

 そして俺たちはワープした。



「ここが……天界……」


 その景色は花畑に見えた。そう言えばティアがここが展開と言っていたか。

 そして歩いていると、翼の生えた美少女たちが何人も何人もいた。かわいさだけなら、ティアとも肩を並べるかもしれないくらいの美少女たちだ。

 流石は女神さまたちか。……おっと、ティアが言うにはこいつらは女神ではなく、まだ天使か。


 そして歩いて行くうちに、大きな宮殿に着いた。ここが、神様のいる場所だろう。


 そして中に入る。その中も金ぴかになっており、そこからここが特別な場所だと、すぐに読み取れる。

 そして一番奥んお大きな扉を開くと、髭の生えた大きなおじいさんがいた。……これが神様だろう。


「神さま!」

「おう、ルティスか。どうした? ……いや、要件は分かっている。ティアのことじゃな」


 そう神様はティアを見ながら言う。


「これは、重症じゃな。治癒に二週間はかかるぞ」


 二週間……ティア、テスト受けられないじゃん。いや、今それはいいか。


「それでのう。お前たち、守れなかったみたいじゃな」


 そうだ、経緯は分からないが、最低でも三四三人もの人間が死んでいるのだ。これでは、あの男に勝ったとはとても言えないだろう。

 神様の怒りもまっとうだ。ルティスは「すみません」と頭をただ下げた。俺も何となくそれに合わせ、頭を下げた。


「それで、隣のやつは誰じゃ?」

「人間です」

「……人間じゃと⁉」


 あれ、これもしかして人間禁制とかだった?


「そうか、なぜじゃ」

「この人は、ティアと付き合っています」

「女神と人間がじゃと?」


 怒られる!?


「ほほほ、面白い事じゃ。その交際を認めよう」


 寛容だった、流石神様。


「さて、まず治癒を開始するか。このままだと、死んでしまうからのう」


 そして神様は治癒魔法をかけた。


「これで、ティアは二週間後に目を覚ますじゃろう」

「神様!!!!」


 そこに、眼鏡をかけた男性がやってきた。


「神官、どうしたのじゃ?」

「下界が襲われています。悪魔の手によって!!」

「悪魔⁉」

「悪魔じゃと?」

「悪魔?」


 悪魔、まあ考えれば女神の敵か。というか、また敵出てくるの!?


「分かった。ルティスはすぐに下界へと戻り、悪魔を退治するのじゃ。決して、下界の民をこれ以上傷つけさせるな」

「はい!!」



 そして俺たちは下界へと舞い戻った。とはいえ、俺は戦力とカニはならないと思うけど。


 そして下界へ通り去った時に見えた景色は、地獄そのものだった。町は焼け野原となり、あたりに傷ついた人たちがたくさん転がっている。


「あなたたち! よくも!」


 そう言って、ルティスが怒った様子を見せ、その中の一人の悪魔に立ち向かう。


「ふむふむ。ようやく女神さまの襲来か。計画が上手くいきすぎて怖いわい」

「どういう事!?」

「もともとルヴィンたちを解放したのも、かく乱させるため、そう、全てはこの下界を奪い去るための計画だったのだ」

「……」

「これで、この世界は私達、悪魔のものとなる」

「ダーククロー!!!」


 そう言ったルティスの指の爪が伸び始め、その爪でまるで猫のように悪魔を引っかきに行く。


「ははははは。だが、悪魔をなめるなあ」


 その言葉が差す通り、ルティスの爪はすぐに捕まれ、そのまま地面へと叩きつけられた。


「この程度かあ、女神いい!!!」

「くぅ、このままじゃあ」

「ルティス!!」


 その瞬間天から一人の男がやってきた。顔を見るに先程の新刊だ。


「ありがとう……メティト」

「ええ。だけど、終わってはいません。今ここで奴を倒さないと被害はとんでもないことに」

「そうね」


 そして二人は、共に悪魔に向かって行く。

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