第13話 真里の小説


「おはよう」私はクラスのみんなに挨拶をした。みんな「おはよう」と返してくれる。なんて気持ちがいいのか。そしてそのまま、私の好きな男の子のもとへと行く。何も思ってない感じで、「おはよう」と、すると彼はすぐに私に「おはよう」と返してくれ、そのまま会話が始まった。私にとって人生で一番楽しい時間だ。好きな人と、一日六時間一緒にいられる。こんなに幸せなことはないだろう。そしてそのまま、授業が始まった。私の席は幸運なことに(私が細工したからだが)隣だ。つまり授業中に一緒にいられる。なんて言う幸せなことなのだろう。私はその日決めていたことがある。彼からついに連絡先をもらおうという試みだ。彼は優しいから「いいよ」と言ってくれると思うが、緊張して今まで声をかけられなかった。だが、胸椎に声をかけられるのだ。「ねえ、連絡先交換してもらってもいいかしら?」私は彼にそう聞いた。すると「ああ、いいぞ。これが俺のメッセージアプリのiDだ」と、胸椎に彼の連絡先を獲得できた。私はすぐに彼に、「今何してる?」と聞いた。すると、「マンガ読んでる」と言う返事が返ってきた。それがうれしくなって、私はどんどんと、メッセージを送った、様々なメッセーを。家でも彼と会話できる。これがすごくうれしいことだった。ただ、しばらく経って、それだけじゃあ足りなくなった。もっと会話がしたくなった。朝も昼も夜も、永遠に。だから私は延々とメッセージを送り続けた。彼と話したいその一心で。気がつけば彼は返事を返してくれなくなった。なんで?なんで返してくれないの?と聞いても彼からは何の返事も返ってこなかった。私はただ一緒に会話がしたいだけなのに。それからは早かった。私は彼の家におしはいった。私は元から彼の家を知っていたのだ。彼は拒絶した。でも何で拒絶するのかわからない。私が家に、女が家に入ってきて幸せでしょ?私は逃げようとする彼が信じられなかった。私は彼の行動全てが理解できなかった。そしてついに、彼は窓から逃げようとした。ねえ、私の愛が受け止められないの?そして私は彼を椅子に縛った。彼の母親が抵抗するから彼のお母さんは殺した上で。私は彼に語りかけた。何回も何回も。だけど、そのどの言葉に対しても返事がない。困ったな。私はただ、彼を愛したいだけなのに。そしてついに警察がやってきた。私たちの愛の巣を邪魔する警察が。だから私はせめてもの抵抗で警察を切りつけた。だが抵抗虚しく逮捕されてしまった。そしてすぐに私は拘置所に送られた。なんで?なんで彼に会えないの?理解できない理解できない。ああ、彼に会いたい彼に会いたい彼に会いたい!そして、私はついに拘置所のドアをどんどんと叩き、脱獄しようとした。朝も昼も夜も彼の名前を呼びながら。だけど、そんな努力虚しく、私はついに懲役30年を言い渡された。私はそして刑務所の中で彼に会うことなく、がんにかかってしまった。ふざけないで!私は彼に会うまで死ねるものか。だが、体が動かない。もうしんどい。警察はもう許さない!そう思いながら私は生き絶えた」



 うん、こいつめっちゃ特殊なやつ書いてるじゃねえか。まさか元々知ってたりしたのか? メンヘラという存在をはっきりと。

 だったらあの山本くんに対するアレなんだったんだよ。わざとの可能性もあるってことか? あいつはどういう狙いであれをやってたんだ?


 まあそれは後で聞くか。まあそれは置いといても、文章のことはよくわからないが、初めて? にしてはよくかけてると思う。俺がいうのもあれだが。


「なあ」

「なんですか?」

「メンヘラっていう観念知ってたのか?」

「いえ、でも女神だからすぐに理解はできますよ。だって調べたらすぐに出てきますから」

「そうはいってもお前すごいな。これを思いつくなんて」

「えへへ」

「それにしても前の山本君とのやつはなんだったんだよ。俺に依存してたじゃねえか」

「だってそれは寂しかったし、怖かったもん。それはメンヘラじゃないよね」

「ああ、確かにな」


 と、真里の頭をよしよしする。


「しかし、真里さんすごい理解力ですね。初めてでこれはすごいと思います」

「そうですか。嬉しいです!」


 と、真里が部長に頭を下げる。


「ぜひ入っていただければ我々の創作の幅も広がると思います」

「そうですか。考えておきます」


 と、そういう会話をして、文芸部を後にした。

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