第6話 女神様と料理


「あのさあ、今日泊まって行ってもいい?」


 と、ゲーム終わった後に、ティアが問題発言をしてきた。

「どういうことだ?」

「いや、そのままの意味ですよ」


泊まる。流石にだめすぎるだろ。ティアの実年齢は知らないが、いい年下男女が一緒に寝るのなんて。


「このベッド見てみろ、二人で寝れるようなベッドじゃないぞ」

「そこは女神パワーで何とかしますから」

「つーか……お前いつもどこに住んでるんだ?」

「私は普通に女神パワーで増やしたお金を使って適当なホテルに泊まってますよ」

「犯罪じゃねえか」

「別に誰にも迷惑はかけてませんよ」


 普通に偽札を作ること自体犯罪なんだがな。確か、お金が増えすぎるとインフレを起こすとかどっかの授業で聞いたことがある気がする。政治経済だっけ。


「俺としてはそれだと困るんだよな」


 別にお金を使うなとは言わんが、日本国民としてお金を大量に使われたら困る。仕方ない住まわせてやるか。


「じゃあ毎日ここに泊まっていいですか? 別にお金は払いますから」

「いや、金はいいんだけど……偽札だし」

「じゃあ」


 いや、ティアは美少女だ。そんな子が部屋に泊まって、俺のドキドキとかが心配だ。だが、ホテルに泊まられるのもなんか嫌なのも事実。仕方ない。


「いいぞ」

「やったー!」


 と、同棲生活になることが確定した。


「じゃあさっそく!」


 と、ベッドが現れた。


「もう女神何でもありだな」

「でしょ! 褒めて!」

「おう、すごい」


 この木とかどこから現れてるんだろ。原理が気になる。


「これどうなってるんだ?」

「私にもわかりません」


 女神なのに分からねえのかよ。まあいい。


「今日は一緒に寝ようね!」


 その笑顔には逆らえない。


「とはいえその前にご飯も食べてねえじゃん」


 今は八時。色々しすぎて時間の経過も忘れてたようだ。元々今日は部活の見学で家に帰ったの自体六時半なのだ。八時になっててもおかしくはない。

 それに、体内時計も流石にお腹の減りを示しているようだ。


「じゃあ急いで何か作るか」

「手伝うよ!」

「いやいいって、別に大したものは作らないから」


 実際今から作るのはパスタだ。時間はあまりかからず、作るのも比較的簡単なこの料理は一人暮らしには鉄板の料理と言えるだろう。


「でも! 料理作るのもやりたかったことの一つなの!」

「じゃあ……」


 何かできること……ベーコンがあるな。


「これを切ってくれ」


 ベーコンを切るくらいだったら出来るだろう。


「分かった!」


 と、ティアは包丁を持ってベーコンを切ろうとする。だが、その様子は見てて危なっかしいものだった。怪我しないか心配になるような……


「気をつけろよ。一応刃物だし」


 大丈夫だとは思うが、念のために言っておいた。まあこれで大丈夫だろう。それに怪我しても女神だしな、なんとかなるだろう。


「分かってるよ!」


そしてティアは少しずつベーコンを切ろうとするが、


「おいティア! お前手が危ないぞ」

「え?」


 見るとティアは手をベーコンの真ん中あたりを普通に抑え、その真横を包丁が斬っていくという感じだった。これは……絶対後に手を切る。


「仕方ねえ」


一旦、卵をかき混ぜるのを止め、ティアの手助けに行く。ティアは「別にいいって」と、断るが、そう言う問題じゃない。女神だからすぐに治るとは思うが、そう言う問題でもない。


「ティア……こういうのは手を猫の形にして、持ちながら斬るんだ。そして危ないから、手の位置は気をつけてな」

「うん」


そしてティアの切り方は安定してきた。



 そして俺は俺の仕事を……と、卵と生クリームを混ぜ合わせ……


「終わったよ!」


 と、かき混ぜてる最中にティアの仕事の方も終わったらしい。なら……と、



「ベーコンを焼いてくれ。ちゃんと油を敷いてな」

「油?」

「ああ、そこに米油があるだろ。それを一たらしして、その上にベーコンを痛めてくれ」

「わかった」


 と、ちゃんとやっているのを見たあと、こちらもと、粉チーズを入れ、完成だ。後は、沸騰をもう少し待つだけだ。


「これくらいでいい? 炒めるの」

「ああ、もう少しだな。もう少しだけ焼いてくれ」

「わかった」


 と、ティアは再び真面目にヘラを使ってベーコンを焼いている。


 そして一〇分後……


「できた!」


 パスタ……カルボナーラが出来上がった。


「私たちの共同合作ですね!」

「ああ」

「良かった。正雄さんと作れて!!」

「だな!」


「いただきまーす」


 と、二人で言って、フォークで麺を巻いて口に入れる。


「おいしい!」


 と、ティアは、次の麺をフォークにからめる。


「そんな焦らなくてもパスタはなくならないぞ」

「わかってますけど、でも次が食べたいから」


 と、次々と口にくわえる。おそらくこれは推測だが、おそらくティアにとって自分で作った料理を食べるのは初めてなのだろう。女神だし。この見るからにいい表情……見てるだけでこちらまで癒されてしまう。


「ごちそうさまでした!」


 と、二人で言って、皿を片付ける。そして、十時だ


「一緒にお風呂に入ろ!」

「それは馬鹿だろ。お前それはさすがにやりたいことリストの中に入ってないだろ」

「だってー、誰かとお風呂入りたいんだもん」

「流石に異性で入るのはだめだ。我慢しろ」

「はーい」


 と、お風呂に一緒に入るのを断ることは出来た。良かった。流石に一緒に入ることは犯罪だからな。……というか同棲もなんとなくアレな気もするが……


「雅夫さん。話しよ!」


 考えていると、ティアが話しかけてきた。

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