第9話
「部長の鈴木華です!わからないことがあったら気軽に聞いてね!これからよろしく!」
鈴木先輩が座ると、代わりに深瀬先輩がゆっくり立ちあがって自己紹介をする。
「副部長の深瀬力です。何かあったらどんどん先輩を頼ってね、よろしくお願いします。」
話しているのは短い時間だったけど、その間も私は深瀬先輩から目を一切そらせなかった。そのくせ目が合いそうになれば、心臓が飛び出そうになってあわててそらしてしまう。
その後、3年生、2年生と順番に自己紹介をしていった。男子部員は深瀬先輩と1年の新入部員しかいないみたいだ。
「じゃあ、次1年生自己紹介お願いできるかな?」
深瀬先輩の問いかけに小春が一番に立ち上がって、いつもの通り元気な口調で自己紹介をした。小春が目線を送ってきたので、私はあわてて立ち上がる。
「梨野美恋です。不器用なので迷惑をかけることもあるかもしれませんが、これからよろしくお願いします。」
深々と頭を下げる。顔をあげて椅子に腰かけると、近くに座っていた同級生の男子生徒が立ち上がった。
「
ハキハキと話す姿は小春や鈴木先輩と少し似ていた。このタイプの男子なら話しやすそうで少し安心した。
「活動内容は部活紹介で知ってると思うけど、一応もう一回説明するね。毎週月・水・金曜日の週3日が活動日で、活動場所は基本ここの家庭科室。休むとか遅れるとかいう場合はグループチャットに送ってね!」
鈴木先輩が話す内容を手帳のメモ欄に書き留めていく。今日の部会は自己紹介と活動説明で終わるようだ。
「先輩!グループチャット教えてもらっていいですか?」
全体としての部会が終わったとたん、島田君が深瀬先輩に話しかける。そうだ、私も教えてもらわないと。
「美恋は深瀬先輩に教えてもらいなよ、私は鈴木先輩に聞くからさ。」
小春がにやりと笑い、スマホを手に鈴木先輩に駆け寄っていく。深呼吸をしてから立ち上がり、意を決して深瀬先輩と島田君が話しているところに声をかける。
「私も教えてもらっていいですか?」
「もちろん、じゃあまず個人アカウント交換しよっか。」
コードを読み取ると、新しい連絡先に犬の写真をアイコンにしている深瀬先輩の名前が追加された。それからグループチャットに招待してもらうと、無事に参加できた。個人の連絡先もゲットしてしまい、1人胸の内が喜びであふれドキドキする。
「よし、できた。これからよろしくね。」
「はい!よろしくお願いします。」
喜びでにやける顔を隠すように踵を返すと、隣にいた島田君に声をかけられた。
「俺らも交換しとかない?」
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