第14話 伝説の!

料理するようになると、外食で美味しい!と思った物を再現したくなる。

料理をすんごい味わって食べるようになった。


テレビで、伝説の家政婦さんのレシピ公開をやってると、すかさずペンと紙を用意し、書き込み始める夫。

「へぇーフランス料理なんだ」

ブツブツ言いながらメモを取っている。


・・・次の日の夕方

「ママ、つまみにどうかな?鯛のディグレレ」

「ん?ディグ…?なんそれ?」

「昨日のテレビでやってたやつ。美味しそうだから作ってみたんだ。子ども達のご飯が進むような味じゃないんだけど、サッパリしてて酒には合うと思うよ」


目の前に出された皿は、確かにフランス料理のようだ。洒落た盛り付け。

ひとくち食べてみる。

「ん!美味しいー!レモンでサッパリしてる!薄いとか濃いじゃなくて、シンプルで優しい味だね。なんだか気持ちが落ち着く味」

これは白ワインか、日本酒に合う。


夫は照れ笑いしながらも満足そうな顔。


ここから、しばらくは伝説レシピが続く。

「ちゃちゃっと簡単なのに、手の込んだ料理っぽく見えて良いんだよね」

と楽しそうなのはいいが、シンプルに優しい味が続くと、ガッツリ系が食べたくなるよね。


「あーチキンカツ食べたい!」

次の休みの日には、絶対チキンカツ作ろう!と心に決める私がいた。

あらあら、夫が料理し始めたら、私まで料理欲が出てきた?

いつもなら、料理は簡単に〜が良くて普通のチキンカツ作るのに、梅紫蘇挟んでみたり、少し一手間加えて作ろうと考えたり。


最初に決めた約束

  【ママの領域を侵さない】


そう、ママの領域は侵してない。

でも、このままだと領域うんぬんではなく、

ママの料理 < パパの料理 になりそう。

ちょっとだけ気持ちが焦る。


今日はママが作るよーと言って、子どもにガッカリされたら嫌じゃん!!


夫は、おかずを作るというより、つまみを作る。夕飯終わって、お風呂入ってまったりタイムに、ポテト揚げたり、小腹が、空いたなーと言われれば、簡単なものをササッと作る。

私は、こういうの嫌だから、作ってくれるの助かる。

でも、そのせいで、子ども達は私ではなく夫にリクエストするようになった。


むむむ。なんかモヤッとしたけど、これはこれで良いか!とすぐに開き直ったら楽になった。


うん、私は和食や定番料理を作る。けど、それは家族全員が好きな味。私がふだん面倒くさがる手間のかかる料理を夫が作る。味はまばらだが、常に進化し続ける。


料理はママだけじゃない。

作る人はキッチンを綺麗にする。

食べるだけの人は、洗い物とか手伝う。


だんだん定着してきたぞ。




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