第11話 またハマったよ
夫が料理をするようになって1年くらい経った頃には、キッチンにいるのが当たり前のようになってきた。私が鶏肉料理が好きだからと、鶏肉料理を調べて作る事が多くなってた。
愛だね愛
でもね、冷凍庫まで鶏肉だらけ。
手羽先の塩焼き
手羽中の塩焼き
手羽中の唐揚げ
そして…
塩唐揚げ
塩で下味つけるレシピ
塩麹で下味つけるレシピ
白だしで下味つけるレシピ
更には塩加減を変えて作る。
包丁がまだ苦手だった頃にカレー作りを勧めたら、色々スパイス買って、色んなカレーを作った。その時は、みんなで「美味しい」と食べたけど、本当は子ども達には不評だったの。
子ども達はスパイスの効いたカレーより、市販のルーで作ったカレーが食べたかった。
まだ料理し始めだったし、マナーというか気を遣ってたけど、そろそろ素直な感想を伝えていかなければ、今後が大変だ。
塩唐揚げだけではないけど、一度作ると何度も続けて作っては味の感想を聞くようになったので
「美味しいよー。でも、この前の方が衣がカリッとしてて好きだなー」
とか
「これは少し味が薄いね」
とか言うようにしたら、益々作るようになった。
どんどん、オリジナルのレシピに改良していく
そして、【焼き鳥】を作り始めた。
串打ちなんてわからないから、最初はなんとなく串に刺す。
タレもレシピを探して作っていた。
グリルで焼く
ジューシーに焼けるけど、串が黒コゲ
タレも、なんて言うか照り焼きチキンみたいな味で美味しいけど、焼き鳥っぽくない。
「これはこれで美味しいけど、俺が思ってたのとは違うんだよなー」
仕事が早出の日、休みの日、焼き鳥は続く。
焼き鳥っぽくなくても、美味しく食べれるけど、ガッツリ食べたい子ども達は、物足りない
なので、焼き鳥はツマミとして食べれるように他に夕飯のおかずを用意したりした。
仕事の休憩中とかもYoutubeを見たりして、勉強していたらしく、帰宅するなり
「今日さ、これ見ててさー。もう早く家に帰ってやりたくてウズウズしてたよ」
とYoutubeを見せてくる。
これ見てーとか若干ウザいけど、
「何見てたの?」
と聞いてあげるのだ。
「焼き鳥の串打ちの仕方!あと、タレのレシピ見つけたから、作ってみる」
と材料も買ってきてて
ウキウキキッチンタイム!
熱々のタレを入れる耐熱の広口瓶も用意していた。
「ツボみたいなカメ?みたいな陶器の入れ物じゃなくていいの?」
と聞くと
「焼き鳥屋は、毎日だから陶器でも良いけど、うちは毎日焼く訳でもないし、冷蔵庫で保存しなきゃだから、瓶の方が良いかなと思ってさ」
と、包丁が持てなかった頃とは全く違って、自信もって料理をしている夫の姿があった。
焼き鳥は、どんどん美味しくなっていき
タレも継ぎ足しで、本格的になっていった。
全部Youtubeで覚えたから凄い。
ほんと、スマホあれば何でも出来る時代。
魚の捌き方も、焼き鳥の串うちも、Youtubeで見て、本当に綺麗に、そして早くなった。
料理に興味持っても、簡単なもの作って満足して、気の向いた時だけ散らかしまくって料理するんだろーくらいに思ってたのに、どんどんハマって、どんどん美味しくなっていく。
夫も、やり甲斐があって楽しいらしい。
仕事から帰ってきて、真っ直ぐキッチンにいき、すぐ料理始めるし。
美味しい!と言われる事はもちろん、おいしそうに食べてる姿を見るのも幸せを感じる。
そして、その労力を理解できた夫は、私が料理に失敗しても、決してディスらない。
「大丈夫、美味しいよ」
と必ず言ってくれる。うん、優しい。
こんな夫に、私はまだ望むのは贅沢だろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます