第7話 敗北感

鯵は続くよ~いつまでも~♪


しょっちゅう鯵を買ってきては捌く。何尾捌いたことか・・・。

軽く50尾はいってるかと・・・。よく頑張るなぁ。

捌いた後の生ごみの事を考えると、燃えるゴミの前日限定にして欲しい。

臭うし。曜日気にせず買ってくるから、魚の生ごみは袋にまとめたら、ゴミの日まで冷凍庫に。

でも、冷凍庫を開けると、空気がパンパンに入った状態の生ごみ袋が入っている。

「パパ、生ごみは空気抜いて袋閉じてね」

「あ、うんわかった。冷凍庫でもガス出る?」

「ガス出る出ないじゃなくて、小さくしとかないとスペース使っちゃうでしょ?」

「はいはい」

ハイは1回と言いたいが、これ以上は面倒なのでスルー。


今夜も鯵の刺身が出てきた。

「ママ、小葱も混ぜてみたよ」

「紫蘇を刻んで和えてみたよ」

と、鯵を捌いちゃ、鯵変なんかも始めた。


うん。美味しい。

いつの間にか、三徳包丁を使うようになってるし


「ママ!見て!これキレイじゃない?」

「なにが?」

とキッチンを見ると、何かをヒラヒラさせてる。

「え?骨?キレイじゃない?無駄な身が付いてなくて超完璧じゃん!」


凄い!やばい!私よりキレイに捌くようになってる!

いつの間にか、包丁使えるようなってるよ。

なんだろ?この敗北感。ちょっと悔しいじゃない。

ここでマウント取りに行かない方が良いな。

うん、これから魚は任せよう。

連続の鯵捌きに堪えた甲斐があったと思おう。

私の心の声がそう言ってる。


「パパ凄ーーい!それ骨せんべいにしようよ」

そういうと

「骨せんべい?どうやるの?」

「低温から揚げるんだよ」

「油は怖いなぁ。ママやって~」

揚げ物は怖いか、そうね・・・最初は怖い。なんでも怖い。

これもまた「このパターン」だね。

マウント取ったつもりはないけど、取ってる?


早速、片栗粉に少しのカレー粉まぶして唐揚げにする。

カリッカリの骨を家族で奪い合うように食べる

「美味っ!」

「パパさ、三枚下し完璧だね。イナダとかヒラマサとかもイケるね!」

「出来るかな?大きいけど」

謙遜謙遜。顔には自信あるって書いてある。


「久々に釣りにでも行こうかなー釣りたては美味いんだろうなー」

そういや、海釣り用の竿とか持ってたなぁ・・・。

「パパさ、海釣りって船乗るの?」

「船もあるし、沖釣りもあるよ」

「沖釣り?沖・・陸・・投げ釣り?」

「まぁ、そう。子ども達連れて、漁港でも行ってみる?イワシとか釣れるよ」

子ども達は未体験の『釣り』ワードに小躍りしはじめる。


これは週末、釣りですね。

ちょっとだけ面倒くさいとか思っちゃう。

だって、子ども達に釣り針の扱いとか、竿振り回すなとか教えないとだし。

でも、コスト押さえて遊べて、釣れたら食べれるし、しゃぁなし。

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