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『ハト。聞いてほしいことがあるんだ』
と切り出したのは、バレンタインが間近に迫っている2月のことだった。
『実はね…、』
私にはずっと片思いをしている人がいた。
2年前ぐらいから。
その人は今思えば、ハトに似ていたかもしれない。
心が大空みたいにまっすぐで、ふわふわした笑顔で私と接してくれる人。
数少ない私の大切な友達だった。
私が恋焦がれる人。
《好きだよ》って、その人と話すたびに伝えたくなるけど、伝えるのが辛くて、友達とういう関係まで壊れるのが怖くて、2年もヤキモキした気持ちが続いていた。
それに、私にはもっと伝えられない理由があった。
それは、やっぱり私が、障害者だから。
こんな私に思いを伝えられても、相手は困るかもしれない。
でも、もう思いを心にしまっておくほどの余裕がない。
世の中がドキドキする2月14日。
その日は、彼の誕生日。
思いを伝えようと決めた日。
でも、本当に怖い。
すべての気持ちを、ハトに話した。
きっと、私のこのメールを真剣に読んでくれると思う。
ハトはそういう人だと信じたい。
【ちぃ。話してくれて、ありがとう!
きっと、気持ちはその彼に伝わるよ。
ちぃの個性も必ず気持ちと一緒に受け取ってくれると思う。
ちぃの好きな人だもん、絶対素敵な人だよ。
応援してるから。
ちぃが羨ましい。好きな人のことでこんなにも前に進もうとしてるから。
今のちぃはキラキラしてるんだろうなぁ。
僕はもう誰かを好きになることも、誰かを愛することもできないから…】
どういうことなんだろう?
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