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私の体のこと。
私は生まれた時から体に障害がある。
《脳性麻痺》という障害。
母親が妊娠中、少し病気にかかり、それが原因で障害を持って生まれたかもしれないと話していた。
歩くことができない、物心ついた時から車椅子に乗り生活をしている。
日常生活のほとんどがサポートを必要として生きている。
食事もトイレもお風呂も着替えも。
家族の手助けが必要だ、特に母親の。
ただ、言葉は自由に話すことができる。
そのおかげで、自分の思いを人に伝えられて、学生時代は友達がたくさんいた。
障害があれだけで色んな困難があったけれど、両親が一生懸命支えてくれた。
だけど、高校卒業して、これから自分はどう生きていけばいいのかわからなかった。
障害が重かったため、一般の大学には通えず、通信の大学に通い始め嬉しかったけど、物足りなさをいっぱい感じていた。
友達は、就職や進学などで新たな出会いがあり、キラキラしていた。
羨ましかった。
どんどん友達が少なくなっていった。
私はそんな自分がとても嫌で、
以前から障害を持った子の両親達が計画していた、《グループホーム》という場所へ、私は引っ越すことに決めた。
そこで新たな生活をしたかった。
やっぱりここでも友達が欲しかった。
そこは、同じ障害を持った仲間が集まって生活をするアパートみたいなもの。
24時間体制で、スタッフさん達が私達のサポートをしてくれる。
そこでの生活は、初めはとても楽しかった。両親と離れてはいたけれど、広い自分の部屋。自分色に染められる部屋。
でも、月日が経つにつれて、だんだんと疑問に思うことが出てきた。
引っ越しして新しい生活を始めたけれど、実家にいた時とほとんど変わらない。
生活に変化がない、友達ができない。
両親が近くにいない寂しさ、スタッフさんとうまくコミュニケーションが取れないストレス、そんなことがたくさん重なって、自分の中から笑顔が消えていった。
だけど、そんな中でも、一つだけ大きな出会いがあった。
iMacとの出会い。
母親と出かけた先に売ってあった、iMac
当時爆発的な人気で、一目見た瞬間このパソコンに恋をした。
水色ボディーのiMac。
この出会いのおかげで、インターネットという世界を知った。
そして、このパソコンとともに、実家に帰ることにした。
自分の言葉で、障害のこと生活のことをめいっぱい、ハトに話した。
【ごめんね、どんな風に返事をしていいか、正直か分からない。歩けないことが、思うように動けないことがどんなに辛いことか、僕には想像できない。
今までちぃが経験したことを簡単にわかるよって言っちゃいけない。ただ、僕の気持ちは、ありがとうだよ。
ちぃがiMacを側に置いてくれたことで、僕達は友達になることができた。ちぃの障害を知ることで、僕の知らなかった世界が広がった。
障害は厄介者じゃない、ちぃの個性なんだよ】
ハトの言葉で私はまた泣いた。
どうしてこんなに心が柔らかくなる言葉をくれるのだろう。
どんな声をしているんだろう、どんな風に笑うんだろう。
ハトのことをもっと知りたくなった。
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