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ハトとのメールのやり取りが始まってから、私の生活に少しずつ変化が訪れた。

それは自分でもはっきりわかる位だった。


早起きをしてみたり、1月という真冬だったけれど、外に出て、思いっきり空を見上げたり、大嫌いだったリハビリを少しだけ頑張ってみたり。と。



私が過ごした時間を少しでも、ハトに聞いて欲しくて、メールを会話でいっぱいにしたくて、今までになくいろんなことにチャレンジしている自分がいた。



あんなにつまらない毎日だと、自分は何の為に、何の目的があって生きているのだろうと、苦しんでる日々だったのに、今は嘘のように、朝が来るのがとても楽しみになっていた。


ハトという友達。


他にもメル友と呼べる人は何人か居たけれど、なんだかハトは、《特別》だと感じていた。


どこがどう特別なのかは、口でうまく説明できなかったけれど、ハトの言葉がいつも優しくて素直だったからだと思う。



ハトとのメールは、とても楽しくて、1日に何度も何度も送りたくなって、返事が待ち遠しくて、話題を作る為に、たくさん本を読んだり、映画を見たり、大好きな音楽を聴いていた。


ハトの顔も声も、知らない。



これから先会うことがないとしても、私はハトを大切な友達!

そんな自信が私の中で湧いていた。



【ちぃ。日記の内容がずいぶん色づいたね、読むのがもっと楽しみになってきた】


『なんだか毎日が楽しい!』


ハトに聞いてもらいたくて、頑張ってるんだ。とは、まだ恥ずかしくて言わずにいた。




気づけば二人の会話も柔らかくなり、色んな話をするようになっていた。



お互いの1日の出来事や、好きなこと、たくさん色んな話をした。


ハトはどんなに忙しくても、夜遅くになっても、返事をくれた。


私はそれが嬉しくてたまらなかった、



そんなある日、

【ちぃの障害のこと、もっと聞いてもいいかな? どんな風に生活をしているのか、知りたくなった。

でも、嫌だったら無理に話さなくていいからね】と、ハトから。



そう、ホームページにはほんの少し記していたけれど、私には生まれつきの重い障害がある。


『嫌じゃないよ、聞いてほしい。障害のこと、私の生活のこと』

と返事をして、ハトにそっと話し始めた。



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