無感知【霊と令和】

釣ール

幻と無

 その人にしか見えないもの、動物や植物のみが感知できるもの。


 気配を探られるだけ探られるのも不快な経験だ。


「すっかり表を向いて歩ける。」


 生前のことなんてとっくに抜けて忘れさり、浮かぶこともなく彷徨っている。

 そういうと大抵の人間は「悲しそう」と言ってくるがなんの対価も要らない散歩ほど面白いものはない。


 あるアニメ主題歌の歌詞ではないが、何にもないのだ。

 何にもないことに罪悪感を抱く必要もない。


 そもそもの話、幽霊だからってわざわざ呪ったり回りくどい文化を継承させて正者を操るなんてそれは完全に生きた人間の犯行だろう!

 もうずっとそうやって突っ込んでいる。


 この文化があるから日本の怪現象だと証明してしまって海外へ行く場合は海底を歩かされる。

 疲れないけど効率悪い。


 やっぱ生物であった事実って変わらないものなんだなと仲間と歩いて知ってしまう。


 地球が滅びるまでは確たるものとしてまだ残るのか。

 生まれ変わるより遥かにマシだが、せめて浮かべないものか。


 新年明けてそれ以降は大体ここまでどこまで歩いたかとか忘れた生前のことなんて話さない。


 今話している人達も、昔は何処かで叱られて泣いて立ち上がったり、凹んで発狂してやけを起こした一人の人間か動物や植物や菌類などなど過去があったのかもしれない。


 このままどうなるのかは定かではないが、誰も解明しようと言わない辺り暖かさがあると信じて散歩を続ける話に持っていくことに。

 それが現代霊のルーティンだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

無感知【霊と令和】 釣ール @pixixy1O

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ