ふたり目2
「あ・・・あ・・・ガキ・・・おい」
ん?ああ、私か。
「何かな」
四肢を失った臭い二人の男のうち一人、もう目が虚ろになり電池の切れかけたロボットのようになっているほうが私を呼んでいる。
「なあ、俺は・・・死ぬんだろ」
「ああ、もっと騒ぎ苦しんで欲しいんだが・・・可能かね」
「悪魔、め・・・」
宗教か?ソラリス教、だったか。
「私はソラリスの使徒だよ。よかったな、地獄へ行けるぞ」
「クソッ、嫌だ・・・お、オレはそんな悪いこと、やっ・・・ちゃいねえ」
「ほう、女も子供も殺さなかったと」
「何が、悪い・・・それ、のナニが・・・偉い奴らだって好き、に!」
「なるほど、弱い女子供を殺して偉い人気分を味わったのだな、正しいぞ」
「な、ら・・・楽に、し・・・」
「おいおい、殺した女子供を思い出してみたまえ!みんな泣き叫び、命乞いをし、小僧から石を取り戻したのだろう?思い出したまえよその時に感じたキミの愉悦を!楽に死なせるなんて、そんな話題の最新ゲームソフトをドブに捨てるようなとんでもない行為・・・出来るハズがない!神は望んでおられるのだよ、君が生汚くのたうち、恨みと命乞いに喚き最後の瞬間までみっともなくも憐れにあがく姿を・・・わかるだろう?さあ、この世で一番偉いヒト、神に最上の愉悦を捧げよ!」
気が付くと私は男の汚臭をまるで気に掛けず顔を接触するまでに寄せその耳へ熱く囁いていた。
その耳朶に、なにか生温いものが垂れていた。
汚いな、なんだ?
男の顔に目を戻すと、泣いていた。
いや、さっきまでも泣いていたが・・・今は嗚咽を噛みしめ、震えながら涙を流している。
これはなんだ、ボーナスステージ?最終局面?
どっちにせよ、恨みと命乞い以外は飛び出してこないだろうが・・・ちょっとした期待に、私も震えた。
「楽しかった・・・サンゴ、ゲイル・・・お前らがいたから、俺は」
心臓が停止したのか、それきり動かなくなってしまった。
電池切れか・・・
となりの男はまだわめいているというのに。
しかし、満足して死んでゆくなど・・・なんという手酷い反撃をしてくれるのだ。
この恨みは、残る一人に償ってもらおう。
私はこと切れた二体を並べると、手で扇いだ。
「ゾンビになれ~」
頸を折った方が、立ち上がろうとして転ぶ。
そしてそのまま、垂れ下がるアタマを追いかけるように地面をのたうち始めた。
満足奴は白目で犬歯を剥きだしながら胴だけで芋虫のように這い、わたしを目指していた。
二人をわめいている男へ蹴り出すと、餌にかじりつき、貪り始める。
恐怖の絶叫が上がる。
私は男に回復魔法をかけ続けた。
朝が来て、その絵ヅラにマヌケさを感じ始めるまで、ずっと・・・
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