ひとりめ3

どうやら少女(婆)の視界より完全に離れることが出来たと確信したとき、怒涛の安心感がこみ上げてきた。


「ふう、そんでここはドコなんだろう」


歩いているのは土の道だ。

大きな石が除けられた、小石ばかりのそれなりに大きな道。

轍もある。


見渡せば平原で、遠くに山脈や地平線が見える。

一本の葉の落ちた木が生えた辺りから横道が伸びており、その先には漆喰と石で組まれた西洋風田舎の家屋が煙突よりケムリを昇らせていた。


安心したら、小便を催してきた。


家屋の方へ何度も人影を確認しながら、木の陰へと回り込む。


左右に伸びる街道・・・おそらくだが・・・を確認すると、纒っていたボロの貫頭衣を持ち上げ、ホースを摘まみだそうとする。


ない。


え?


股間には棒も玉も無く、ただスジが一本走っているだけであった。




う、ウソだろ・・・・・


メンスパッド()もロキソニンもナイロンも無い世界で女やれってか?


それに・・・掌だけでなく、表も白く、マニキュア無しでピンク・・・あ、別に前世でもピンクだったわ。の爪。


ひょっとして私も白い人種なのか?

ま、まずい・・・・・


自分の体毛を確認する。


ウブ毛ではあるが、明らかに長い。


せめてカミソリだけは早急に必要だ!・・・いや、スタ◎プラ◎ナのようなスタンド能力でもいい。

なるべく広い面積で毛を挟み、重戦車のように圧倒的なパワーで引き抜く。

されば、痛みは無い。

鳥肌にもならない。

ああ、全ての女性にス◎ープ◎チナを!


「あ、鼻毛は痛点無し人間ぽい・・・よかった」


一本抜いたが、無痛であった。


ひょっとして、スタ◎ドはともかく毛抜き魔人ぽいものも召喚できるのではないか?


なにせ手を払うだけで糞尿塗れの人間を漂白したり若返らせたりできるのだから。


「よし、天空神ユピテルより雷の権能を受けしファナソーナスの眷属、千の腕を持つ毛抜き魔人ゾイエよ、我が召喚に応えい!」


小さい手がいっぱい生えた昆虫みたいのが出てきたら卒倒したりエロすぎてちんこ・・・はないのか、ちくび立っちゃうかもしれないなぁなどという危険が刹那の時に光陰を刻む雷刃の煌めきがごとく脳裏を横切っていった。


こぶし大ほどの石が草に落ちるような音が足元に立つ。


私は視線を下ろした。



「・・・ゾイエそのモノじゃん」



毛抜きローラーが落ちていた。


拾ってガチガチ鳴らしながらスネや下腕、うなじなどをゴリゴリと走行させる。


「いってて・・・やっぱチクチクすんなぁ~・・・白人じゃ鳥肌になっちゃうんじゃないのコレ」


しかしゾイエじゃワキ毛マン毛は抜けないしやっぱ剃毛ナイフかスタープラチ◎が必要じゃんやばいよ。

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