第2話 バス停『雨宿』
発見!
突っ立ている
「…………」
絶句。時刻表らしいが、数字ではなく何か文字が書かれてある。筆で書いたのだろう、
「
振り向くと待合の小屋。木製のベンチが置いてある。どこにもバスについて分かる掲示物はない。とにかく疲れたので、ベンチに座ろう。
ベンチでふんぞり返っていると、いつ現れたのか小学生らしき少年が私の前に立っていた。半袖の
「お姉さん! こんにちは!」
いきなり大きな声で挨拶をされた。お姉さんと呼ばれたのは何年ぶりだろう。いつもは『おばちゃん』て呼ばれるからなあ。
「こ、こんにちは。君は、この辺りの人ですか?」
とりあえず、地元民かどうか聞いてみた。
「はい。
はきはきしているし、言葉遣いも良い。
「あ、どうもご丁寧に。私は小日向陽子です。高校の先生をしています。あの正次君、ここはバスが走っているんですか」
「はい走っています。お姉さんは、よそから来た人ですね」
「うん、そうなの。それで、このバス停にはいつバスが来るの?」
「あ、やっぱり。分かりませんでしたか。あそこに書いているんですけど。やっぱりね」
時刻表を指さしながら正次君は鼻息を荒くする。
「な、何よ。そのやっぱりって言うのは」
「はい。よそから来た人は、この『
「あ、ここは『あまやどり』って言うんだ。時刻表は、ミミズののたくったような字で、私には読めません」
「だから、僕が来たのです。家にいた母が、たまたまバス停にいたお姉さんを見かけて、おそらく時刻表が読めないだろうから、お前が行って読んでおやりと僕に言ったのです」
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