第4話 誇り高いエルフは折れることなく言いたいことを言う
そこへ、舞台で出ずっぱりだった少年が駆け込んできた。
「神様役の出番だよ、ルイレム」
長く編んだ亜麻色の髪には、いくつもの黒髪の房が螺旋を描いている。
ルイレムさんは冷たく返事をする。
「座長に出るなと言われたが?」
「お客さんを笑わせようとするからだ!」
大真面目に言い捨てていくイフリエの担当はというと、少年や若い女性の役だ。
重い腰をなかなか上げようとはしないルイレムさんが気になって声をかけた。
「あの……出番は?」
それを聞いているのかいないのか、ルイレムさんは小声で私に囁いた。
「これだけは、譲れないから……分かる? 私の目指しているもの」
リアクション取らなかったり、かと思えば同じ反応を繰り返したり、ひと言もしゃべらなかったり、身じろぎひとつしなかったり。
不条理劇というのか、実験演劇というのか。
「分かりませんけど……誰かが分かってくれますって」
励ましにも何もなっていなかった。
それでも、ルイレムさんは自信たっぷりに答える。
「だから、よそ行こうかと」
一度決めたら、どんなに横槍が入っても、話をそらされても、話は最初に戻ってくる。
さすがはルイレムさんだった。
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