第2話 巨乳のエルフ娘が寒いネタで上司のムチャ振りから救出してくれたらしいです

 そこで、宿屋の中庭の方で舞台が静まり返った。

 座長のホーソンは舌打ちする。

「いけねえ、またやらかした、あのエルフ娘」

 そこでうっかりリンゴの皮をすっぱり切ってしまった私は、いきなり肩をとんと叩かれて縮み上がった。

「これでは無理ですね」

 澄んだ声に振り向くと、絵に描いたようなプラチナブロンドの巨乳エルフがいた。

「……どうしましょう、ルイレムさん」

 どこかの次元の、どこかの深い森の中から出てきたエルフはちょっと考えていたが、ふらりと炊事場から外へ出ていったきり、しばらく戻ってこなかった。

 代わりにやってきたのはホーソンだ。

「ルイレムどこだあ!」

 戸口からルイレムさんがひょっこり現れた。

「ああ、皮を剥いてきたので」

 淡々と答えながら広げてみせたのは、金持ちのリビングの床にひいてある虎のアレを思わせる、まっ黄色の大きな皮だった。

 私も、そこで調子を合わせる。

「服を食っちまうシーンに使う皮です」

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