第3話 幹雄へ

幹雄へ


この手紙をお前が読んでいると言うことは、俺は死んでいるのだろう。

フィクション以外でこんな書き出しをすることになるとは思わなかったよ。

あの時バスが事故って、気がついたら俺は異世界の闇市にいた。お前はもっとマシなところに行っていて欲しいけど、それは難しい話なんだろうな。

最初に重要な内容だけ箇条書きで書いておく。時間がなければそこまで読めばいいよ。

・この手紙を渡してくれたメェリは悪い奴じゃない

・ククルは怪しいがある程度信用できると思う

・この異世界には日本人が時々現れるらしいが大半が高額奴隷として売られている

・日本人はこの世界だと多少身体的に無理が効く。チートって程じゃないが達人と素人くらいの差はありそうだ

・一年くらいククル達と旅をしたが他に生きてる日本人とは会ってない

・クラスメイトは数人見つけたが全員死んでいた

・元の世界に帰る方法はありそうだ。いくつかの国にある世界樹の門って場所へ行ければ、もしかすると帰れるかもしれない

・ククルのところで傭兵になっていれば危ないが旅は簡単にできる。そんでどうにか世界樹の門まで行って、お前は日本へ帰れ

以上。


さて、大事なことはざっと書いた。他に俺が異世界に来てからわかったことは本にまとめた。多分、ククルかメェリあたりが持ってるはずだ。2人には日本語での会話ができるように教えたが、読み書きはできないから注意しろ。そういえば俺は三日くらいしたらある程度の異世界語は話せるようになったぞ。お前も話せるだろうとは思うが一応念の為、あれは英語とヒンドゥー語がわかれば何となくなら話せる様になるから聞いて慣れろ。

あと、ククルはあんな見た目だがな、騙されるな。あいつは傭兵の頭領だぜ。いつも一緒の部下以外にも各国に数人から数十人くらい部下がいるみたいだ。部下以外にも、多くの人脈を持っている。もしアルゴーとバンキギという2人に会うことがあったら、俺の名前を出して話をしてみな。彼らは日本語は話せないが良い奴らだから、異世界語をマスターできたら頼ってみるもの良いかもな。

傭兵として戦うって言っても別に殺し合いだけじゃないぜ。護衛とか運搬とかもあった。けどさ、やっぱし覚悟しとかないといけないことも山ほどあるぜ。幹雄にできるか心配だ。でもククルの旅について行けば少なくとも国境を渡るのは難しくない。この世界で日本人が旅をするのは大変だ。多分、この手紙を書くまでに一年くらいは俺も傭兵としてククルと一緒に旅をした。

お前を探す中でさ、他のクラスの連中は何人か見つけたよ。

けどな、、、、【何度か消した後があり読めない】みんな酷い有様だったよ。だからさ、他の奴のことは気にせず、全力で生きて帰ることだけ考えろよ。

お前が生きてこの手紙を読んでいることを祈っている。

先に死んじまってごめんな。

お前は生きてちゃんと日本に帰れよ。

蓮也

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