第15話

 ~2028年12月25日、立川沙羅単独コンサート当日~


あれから一年をかけて、新曲が完成した。披露するなら、絶対にこの日だと決めていた。目の前には数万人の観客が待望の新曲を待っている。

「みなさんこんにちは。立川沙羅です。今日は、この素敵なクリスマスの日に、立川沙羅単独コンサートにお集まりいただき、誠にありがとうございます。」

わーっと歓声が上がる。

「今日披露する新曲は、ある人の人生を賭けた嘘、がテーマになっています。嘘、といえばあまり良い印象を抱かないかもしれません。嘘をつかれたい、という人はいないと思います。でも、生きていく中で、誰かの人生をより素敵なものにするために、輝かせるために、自分を犠牲にして嘘をつくことが必要な時もあるんです。この曲は、そんな嘘の優しさをみなさんに届けたくて作りました。

それでは聞いてください、『優しい嘘』」

大きな歓声とともに、イントロが流れ始めた。沙羅は目を瞑る。瞼の裏にはこの歌を届けたい父、母、そして瞼の向こう側にいる大勢の観客の姿が浮かんだ。


『私の歌が、みんなに届きますように。

』その願いとともに、歌い始めた。

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優しい嘘 sweet world @sweetworld

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