第36話 魔力

「よし、よし。我ながら完璧な戦闘だったな。いきなりレアボスとか、万が一にもこのチャンスを逃すわけにはいかなかったから……って、やりすぎたか?」


 目の前の悲惨な光景を見て、ルークは我に返った。

 ルークが後ろを振り返ると、そこにはポカンと立ち尽くすエリンとシャルがいた。


「もしかして……終わっちゃったの?」


「ご主人様が強いのか……相手が弱いのかわからなかったニャ」


 ハハハ……これは完全にやらかしたな。

 けど、話は後だ。急いでカード化しないと、倒した魔物がダンジョンに呑み込まれる。


 ボブゴブリンとゴブリンメイジのカード化を終えると、ルークの頭の中で女性の声が聞こえた。


『コレクションボーナスで知力が1上がります』

『コレクションボーナスで腕力が1上がります』

『【ダンジョン図鑑 ハージマルの魔物(8/8)】をコンプリートしました。スペシャルボーナスとして全ステータスが1上がります』


 ここまではいつも通りだ……




 ——えっ、もしかしてこれだけ?


 完成コンプリートさせるために、レアボスまで倒したんだぞ!

 なんかもっと特典とかないの!?


 ルークがショックを受けていると、頭の中でまた女性の声が聞こえてきた。


『…………ハージマルダンジョン図鑑の地図上に、魔物の位置が表示されるようになりました』


 おおっ! なんか間があったのが気になるが、やればできるじゃないか!


 ルークは早速、頭の中でダンジョン図鑑を開き地図を確認した。すると全ての階層の魔物の種類と位置が地図上に表示されるようになっていた。


 これは凄い。素材集めやレベル上げに便利じゃないか!

 レアモンスターが出現するダンジョンで出来るようになれば……ヤバいな。夢が膨らむ。


 ルークがガッツポーズで喜んでいると、何やら落ち着かない様子のシャルが話しかけてきた。


「ご主人様、さっきのアレは一体なに? あんな威力の技、初めて見たニャ」


「そうだよ! ルーク君のナイフから紫色の光が飛び出してたよ」


「ん? あれは奥義だよ。昔、紫花しかって人に教えてもらったんだ」


 昔と言っても、前回勇者だったときだけどな。


 教えてもらった紫の奥義は高度な魔力制御を求められる。けど言い方を変えると高度な魔力制御ができれば、誰でも使える奥義なのだ。


「ルーク君。そんな人がスタットの町にいたなんて、聞いたことないよ。いつ教えてもらったの?」


「えっ……そうだな。あれは、2年ぐらい前かな。裏の森の中で偶然に紫花しか師匠と出会ったんだ。そのときいろいろあって、紫の奥義を伝授してもらったんだよ」

 

「知らなかったよ。そんなことがあったんだね」


 エリンがルークの話を疑うことなく信じる姿に、ルークは少し後ろめたいものを感じた。

 少し気が引けたので、コレを見せることにした。


「ちょっと僕の手を見ててくれ」


 そう言うと、ルークは右手のひらを上に向けて2人の前に出す。

 すると手のひらに透明な球体が回転しながら現れた。


「この透明な球体の正体は僕の魔力さ。そして……」


 ルークの手の上で回転する透明な球体が、徐々に紫色へと変化していく。


「ご主人様、紫色に変わったニャ!」




――――――――――――――――

後書き失礼します!


急遽、書いてあった設定を変えたくなったため、修正が間に合わず本日はここまでになってしまいました。


短い話になり申し訳ありませんが、引き続きよろしくお願いします。

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