第32話 ハージマルダンジョン攻略(4)
「お待たせ! いろいろあって遅くなったけど、2人とも大丈夫だったか?」
ルークは4階層へ降りる階段の途中で、エリンとシャルを見つけた。
「お、遅いよ。ルーク君! あまりに遅いから、食べられちゃったんじゃないかって心配したんだからね!!」
「……ん。ごめんなのニャ。シャルが勝手にネズミを追ったばかりに……」
「シャル。そんなこと気にするな。むしろ僕はシャルに感謝したいぐらいさ! シャルのおかげで大発見があったんだ!」
ルークはエリンの作ったポーションをカードから戻し、シャルの身体に振りかける。怪我が治ったのを確認すると、カードケースから1枚のカードを2人に見せた。
「ルーク君、何なのコレ? 『暗視スキル☆1』って書いてあるけど」
「これ魔物カードがドロップ化して出来たんだ。僕はコレをスキルカードと呼んでいる」
「「スキルカード!?」」
2人はそのカード名から、このカードの意味していることに気がついた。
「す、スキルがドロップしたってこと!? 凄いよ! そんなの聞いたことない!」
「ご主人様……コレを使えばスキルが覚えられるのかニャ!?」
ルークは2人の反応に満足し微笑む。そして更に3枚のカードを取り出してエリンに渡した。
「これは……4枚とも『暗視スキル☆1』って書いてある! 私に渡したってことは……『強化』か『進化』で錬金してってことだよね?」
「ああ、話が早くて助かるよ。両方とも試してみてほしい」
「スキルカードって、そんなに簡単に手に入るのかニャ?」
ルークは視線を上に向けて、3階層の出来事を思い出す。
「いや、レアドロップだな。感覚的に10回に1回ぐらいの感じだったと思う」
「ルーク君。それだとカード1枚手に入れるのに、大ネズミを20匹倒すことになるよね? ドロップ化するのが50%ぐらいの確立だったから」
「うん。そうだな。そのぐらいの感覚であってるよ」
「えーっと、ルーク君はさっき3階層でどのぐらい魔物を倒してきたのかな?」
エリンとシャルは、生唾をゴクリと呑み込む。
「……100匹ぐらい?」
「「ひゃ、ひゃっぴき!?」」
「アハハハハ。スキルカードを発見して喜んでいたら、いっぱい大ネズミが集まっちゃってさ。2人に静かにしろって言っておきながら、僕もやらかしちゃったよ。それが原因で合流に遅れたんだ。ごめん。やっぱり怒った?」
お、怒る? 一体何の話をしてるのルーク君?
「ご、ご主人様は1人で100匹も倒してから、シャル達と合流したのかニャ?」
「そうだけど。まあ、そんなことより実験だ。さあ、エリンやってみてくれ!」
か、軽いよ、ルーク君! 魔物100匹だよ! しかも1人で!!
誰かに言えば町中大騒ぎになるぐらい凄いことだよ!
シャルちゃんなんて、ものすごい尊敬の眼差しでルーク君を見ているし……
そんな心中驚いているエリンに向かって、ルークは待ちきれない子犬みたいな目で今か今かと視線を送っていた。
「う、うん。わかったよ。とにかくやってみるね。えーと、まずは『強化』からと……」
エリンは2枚のカードを手に持ち『強化』と唱えた。
するとカードは淡く光り、1枚のカードになった。
ルークはカードを持つエリンの手ごと、自分の目の前にカードをもってくる。
「オォォォォッ! 『暗視スキル☆2』になった! ☆の数が増えたぞ!」
ルークはその興奮のまま、エリンに催促の視線を送る。エリンはルークの目のあまりのギラギラさ加減んに、少し恐怖を覚えた。
「そ、それじゃあ、次は『進化』やってみるよ」
エリンは『暗視スキル☆1』の2枚のカードを手に持ち『進化』と唱えた。
すると『強化』と同じようにカードは淡く光り、1枚のカードになった。
エリンがスキルカードを見ようとすると、ルークとシャルも一緒に覗きこむ。
「「「『魔力視スキル☆1』!」」」
ルークは「やったァァァァ! こいつは大発見だァァァ!」と叫びながら両手をエリンとシャルの首に回し抱きし、ピョンピョンと跳びはねる。
エリンとシャルも笑いながらルークと一緒に跳んで喜ぶが、エリンの頬は少しだけ赤かった。
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