12月 リフレッシュ

 寒くなったせいで、最近真輝の動きが鈍い。冬眠の余韻を引きずったように出不精になって、なかなか買い物に付き合ってくれないので、俺は今日一人で最寄りのショッピングセンターに来ていた。



 この歳になると、クリスマスだとか年末だとかに対する感度が鈍くなる。俺のような事務系の仕事は特に、締め作業だなんだで仕事が忙しくなるので、気づけば十二月も半ばに差し掛かっていた。



 店はすっかりクリスマスムードで、辺り一面が赤と緑とサンタに埋め尽くされていた。先ほどから延々とクリスマスソングがリピート再生されていて、華やかで陽気なメロディーに乗っ取られた手足が、今にも踊り出してしまいそうである。



 ここには元々、リフレッシュのために訪れたので、特にこれといった目的があるわけではなかった。ちょうどいいので、「クリスマスは真輝になにをあげようか」と考えながら、服屋や雑貨屋を冷やかした。よくよく考えれば、イブまでもう十日もない。



 甘やかすより甘える方が好きだという自覚はあるが、真輝の喜ぶ顔を思い浮かべながらまわるショッピングモールは、仕事の疲れをしっかり癒してくれた。



 機嫌がいいので、ちょっといい肉を買って帰ろうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る