11月 夜半過ぎまで
寒い季節にセックスをすると、自分の体がどこまで冷え切っていたかを思い知らされる。達する時の身の震えるような熱をもってして、初めて自分は生きているのだと実感できる。
変温動物のようにすぐに体温が下がってしまう俺とは違って、理玖の体はいつも温かい。それは、行為の最中はなおさらで、しがみついた首元は熱いくらいで、肌を肌を触れ合わせている瞬間だけ、俺は脳みそがすっきりと冴え渡るような心地になる。
そんな俺の様子を見て、理玖はいつも「冬眠だ」と笑う。本当にその通りだと思う。特に、今日みたいに、なんの用事もなくただベッドで寝転がって、気の向くままにお互いの体を確かめ合うだけの日は。
首を傾ける。白い横顔が見える。満足そうな寝顔を見ているうちに、再び穏やかな眠気に見舞われる。
窓の外の、月の形を考えた。今は何時だろうかという疑問すら、まどろみのしじまに吸い込まれて消えていく。かろうじて、明日も休みだということを覚えていた。だから俺は、穏やかで幸福な時間にゆったりと身を預けて、無意識の海に沈んでいった。
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