11月 お守り
出先でオリジナルのお守りを作った。十数種類の干支や和柄の布袋から好みのものを選び、その中に、自分の願いごとに合わせたパワーストーンを入れて持ち運べるようにする、という代物だ。
いかにも女性向けのコンテンツだったけれど、スピリチュアルな雰囲気漂う薄暗い店内に入った途端、理玖はカラフルなパワーストーンたちに吸い込まれていってしまった。せっかくなので、俺も一緒に作ってみることにした。
なんとなく選んだ勾玉が意外といいお値段で、結局俺のお守りの方が、理玖のものより五百円くらい高くなってしまった。理玖の袋は紺地にピンクの桜柄で、中には魔除けと開運のパワーストーンが入っているらしい。
「どこにつけようかなあ」
駅までの帰り道、理玖は俺の傍らで、紙袋から取り出したお守りを街灯にかざして眺めていた。大きく開いた目を何度も瞬かせて、嬉しそうに笑っている。
「気に入ってよかったな。一生ものだ」
俺がそう声をかけると、理玖はお守りを眺めたまま大きくうなずいた。彼のこういう、素直に物喜びするところが、俺はけっこう好きだったりするのだ。
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