11月 鞄屋
十二月生まれの人は幼い頃から、誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントを一緒にされてしまうことが多いらしい。
だから俺は、理玖の誕生日とクリスマスには、必ずそれぞれ一つずつ、計二個のプレゼントを渡すことにしている。
今悩んでいるのは、十二月二日に渡す誕生日プレゼントの方だ。会社の最寄駅に最近よく出店している鞄屋の前で、俺は先ほどから、目線をきょろきょろ動かしながら立ち尽くしている。
自分の誕生日には、理玖からペアリングをもらった。すごく嬉しくて、だから理玖にも、なにかそういう、オシャレなものをあげたいと思っている。
ただ、二つともその系統ではさすがに飽きるだろう、というわけで、カジュアル系の商品も見繕っている次第だ。
オシャレなものなら、定番のブランドがあったり、買う場所の検討もつけやすい。でもカジュアル系は難しい。こういう露店形式の店に掘り出し物がある可能性もあるから、俺は一期一会の出会いを求めて、街を歩いている間中気が抜けない。
うーん。
俺は小さくうなって、首をひねった。あと一ヶ月、こんな日々が続くような気がする。
まあそれも、理玖の喜ぶ顔を見るためだと思えば、全然悪くないんだけど。
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