第23話 王都観光


近衛騎士団の聴取も無事に終え今度こそ観光を楽しむつもりで王都の繁華街に来ていた。


「二度目は無いと思うが警戒は怠らない程度に楽しもう!」

「はい!」

「わかったわ」


こうして2度目?の王都観光に繰り出した。



「この服はどうですか!」

「色はこっちが良いわ」

「ではこの色でアクセントには・・・・」


現在周囲を警戒しながら尊い光景を目に焼き付けていた。

服を売っているお店であーでもない、こーでもないと服を選ぶサイサリスとアドラステアの姿が尊くて眺めているだけで心が満たされてゆくようだ。


しかも流石王都と言うべきか綺麗なドレスを着た少女が多いので非常に目の保養になる。


(眼福は眼福だが本命である『魔女』の情報が殆どないんだよな~)

情報ソースは表のお店が中心なので期待はしていなかったがこんだけ人が集まっているのに『魔女』の『ま』の字もでて来ないのは予想外だった。


裏側に行けば情報は有るだろうがここ数日の国からのガサ入れで何処も彼処も警戒を強めているはずなので迂闊に入り込む訳にもいかないので、今回はスルーだ。


「ともかく今は買い物を満喫するか」


そう独り言を呟きながら未だにあーでもないこーでもないと言いながら服を選ぶ二人の元に向かった。



結局この日は目ぼしい物も目ぼしい情報もなくいまま終わってしまったが二人は丸一日ショッピング出来たことでかなり上機嫌だった。


「新しい服も沢山買えたし、ちょっと高かったけど魔導書も買えたわ!」

「いや~一日であんなに沢山の金貨を使ったのは生まれて初めてですよ!しかも全部経費!流石ご主人様!ステキ!」

「ハハハハハ、喜んでもらえて何よりだよ」

「それで明日は?」

「明日も観光だな」

「なら明日は露店が多く出店されて居る場所に行きませんか?」

「露店?」

「はい、お城の少し先に大きい広場が有って、そこには隣国からの来た人達が露店を開いている場所になります」

「おぉ!それは面白そうだ」

「そうね、私も興味あるわ」

「では案内はお任せ下さい」


(これは案外面白い情報が聞けるかもしれない!明日に期待だな!)



翌日予定通り露店エリアに向かった。

「結構にぎわってるな」

「ええ、ここは様々な身分の方が来ますし物価も比較的安いのでいつもに賑わっているそうです」

「そうなのね」

「ただし!」

「ん?」

「なに?」

「中には不心得者も居ますので物取りにはご注意下さい」


(成るほど、表道りと同じ感覚でいると良いカモって訳か、なら防犯の為に超極細ワイヤーで防犯ネットにしておけば安全だろう。)


そう思い早速自分の分だけ施工することにした。


サイサリスとアドラステアはいいのかって?

二人には不要だった。

アドラステアは既に何度か俺がスられた財布を取り戻してくれてるし、サイサリスに至っては感覚が鋭いのかすぐに取れそうな位置に財布が有るのに手が伸びてくるとひょいっと避ける。

最初は急に変な動きをするので気になって居たが、スリから華麗に逃げていたらしい。


「悔しくなんかないもん!」

「いえ、それはやり過ぎだと思います・・・・・一時の過ちで指を失うのは・・・・ちょっと・・・・」


つい先ほど栄えある犠牲一号が出た。

古典的なやり口ですれ違う瞬間に財布をかすめ取ろうとしたが超極細ワイヤーの餌食になり指がスパーんと飛んだ。

その現場を目撃したアドラステアにやり過ぎではと?諫められたが、スリに合いそうになった事に気が付かなくて悔しかったので華麗に避けれるまでは防犯対策は続けようと思ったが・・・・・


「財布は私が持ちますから止めて下さい」

「わかったよ~・・・・っく!一度も気づけなかった!」


何人か尊い犠牲が出た所で禁止令が出たので渋々防犯ネットを解除した。



スリ以外はこれと言った犯罪には合う事はなく、露店を巡りとても面白いモノを見つけた。

それはパルドーム公国から来た露天商の店で売っていた『浮遊魔石』と呼ばれる物だった。


「おっちゃん。その浮いてる石なに?」

「この石はパルドーム公国の北で取れた宙に浮く石なんだが・・・・他の魔法が一切効かないくてな。本当にただ浮くだけの石なんだよ」


浮かぶ石だとぉぉ!?

欲しい!超欲しい。この石を解析して浮かぶ原理が解れば普通に浮遊庭園が出来ちゃうじゃん!


「(有る分だけ欲しい!取り合えずスーパーメイドに相談しよう)そうか、まぁ珍しいな」

「どうだい?」

「ん?ああ、一回りしたらまた来る」

「お?おお、じゃぁ期待してまってるかなら!ハハハハハ」


一度露店から離れてアドラステアを振り返り

「あの石全部欲しい!」

「全部ですか?」

「お願い!」

「はぁまぁそんなの好きに買えば・・・・・って防犯の為に私が財布を持ってたんでしたね」

「ああ、あと物凄く欲しそうにしてると足元見られそうでな」

「そういう事ですか、判りました出来るだけ値切りますね」

「ああ、よろしく頼む」

「それで何に使うの?」

「ん?ああ、まぁ宿に戻ったら説明するよ、ココじゃ騒がしいしね」

「そう」

「じゃぁいってきまーす!」


そう言うとタタタと先程の露店に向かって走り出した。


そして数分後にホクホク顔のアドラステアが戻って来たので交渉は上手く行った様だ。


「全部買い込んできました。結構大きいのも有ったので取り出す時には注意して下さいませ」

「了解だ」

「では次に参りましょうか」



次はどんな露店があるかな~と練り歩いていると宝石や細工物を扱っている店があった。


「綺麗ね」

「そうですね・・・・これなんか似合いそうですよ?」

「へい、らっしゃい!お?これは可愛いお嬢さん達だな!これなんかおススメだよ~」

「どれどれ~」

「これ?」


商品を熱心に見ているので覗いてみると少しくすんだ色の原石が置いてあった。


「なぁおっちゃん?」

「ん?どうした坊主」

「そこの石は何?」

「んぁ?ああ、これは魔力を流すと震える石でな、面白いのが片方に魔力を流すと対になってるもう片方が震えるんだ。だから冒険者とかが合図を送る為に良く買ってくんだ」

「それってどこまで離れたらダメになるんだ?」

「あー試した事は無いが、聞いた話しだと限界まで魔力を込めれば山一つは超えられるって話しだぞ?」

「ふーんそうなんだ、ありがと」

「おうよ‥‥お!お嬢ちゃん良い目してるねぇ~それは…」


凄いよ!露店って凄いよ!

まさか浮かぶ魔石にペアで振動する魔石とかヤバ!限定的だけど通信機が作れるじゃん!

こんな近場で見つかるとは思わなかった。


なのでさっきの浮かぶ石と同じくアドラステアに有るだけ買い占めて貰った。


「ねぇオーキス?私このネックレスが欲しいわ」

「あ、じゃぁ私はこっちで!」

「ハハハハハ!良いとも!」


二人の選んだものは結構いい値段したので少し身構えたのは内緒だ。


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