第3話 闇の底、冥界の牢

 暗い闇の中。


 ジメジメして、陽の光もあたらない場所。

 こわい、足がいたい砂利道を歩いたらケガをしちゃう。

 どうしてこんな場所に。


「○○○ちゃん、どこにいくの?」


 おさなく甘えた声でわたしはたずねた。

 前を歩く女の子はわらう。


「こわくないよ」


 どんどんと下へおりていく。

 昔に掘られた岩の階段。

 まるで、死者の国におりるようにどこまでも……


 もぐると塩のにおいも届かない深い。

 ジメジメする闇の中、小さな明かりだけを頼りに降りていく。 


 もう、入口はみえない、虫食いのように小さな明かりが行く先を照らす。


 松明はちいさな範囲しか照らさない。

 

 やがて、檻をみつけた。

 木製の囲いが、そこを特別な場となっていた。

 稲袋が集められ、つられた魚が多く保存されている。この場所はなに?

 

「えっ! ??」


 突然、後ろからおされた!


 体をささえようと足を踏み込むけど、足場が悪くて止まらない。


 ドテ! 


「いたっ!」


 今まで荒れた岩場とちがい、その場所は整地された部屋のような部屋。


 牢の中だ。

 そして、そのまま木戸が閉じらる。


 錠がしめられ、私は状況がのみこんだ。 

 あ、ああ、閉じこめられた!!


「○○○ちゃん。どうして?」


 木製の牢をつかみ、外にいる○○○ちゃんをみた。

 ○○○ちゃんの表情はうかがえない。

 みえない、彼女の顔が。

 

 「どうして、閉じこめるの!!」


 ○○○ちゃんはそのまま入口に向かう。

 闇が侵食していく……光が遠ざかる……

 どうして、おいていくの。

 光がきえる。


 私は一人になってしまう。

 こんな寒い場所で、たった一人。

 死んでしまう。


「なんで、置いてかないで、○○○ちゃん」


 その声は遠ざかった闇の中を反響し……

 届かない闇の中で、光が消えて……やがて、闇が全てとなった……


「だ、だしてー―! だして!! 出してーーーー! ここから、出してーーーー! ○○○ちゃん」


 聞こえるはずのない声があげつづけた。

 かれるほどさけぶ、時間の感覚もなくなり、やがて……私は声もでなくなった……

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