episode15 愛とか恋とか

近藤くんはこんなに私のことを想っていてくれていたのに私はなんとも思っていなかった


真緒と同じ


私が近藤くんに真緒と同じことをしていたんだ

私は真緒に見て貰えなくて、大切な人がいると知ってそれでも好きで

けど好きな人にはなんとも思って貰えてなくて


近藤くん、私だって沢山泣いたよ?


人を愛するって難しい、愛されるって難しい


「汲田さん⋯

こんな場面でこのことを聞くのはあれなんですが、【近藤瑠々花】って知ってます⋯?」


近藤瑠々花⋯??


ちょっと待って_____


『大学時代の後輩⋯知ってる名前だけど、近藤くんとの関係は何⋯?』


「近藤瑠々花



俺の実の妹です」



【5年前】

瑠々花は私の2歳下の大学の後輩だった

すごく可愛い系のお人形さんみたいな子だった


運動もできて頭もいい、そして可愛い


けど彼女にはある欠点があった、それは

《好きな人に粘着して、執着すること》



そのターゲットになったのが

私だった



最初はすごく距離感がバグってる子だなとは思っていたけど、まさか私のことを

『恋愛』で好きだなんて思ってもいなかった



LINEもやたら

「汲田先輩❤️❤️❤️❤️大好きです❤️❤️❤️毎日素敵な笑顔で挨拶してくれて本当に嬉しいです❤️❤️❤️❤️汲田先輩本当に大好きです毎日見守ってます❤️❤️❤️❤️❤️」


なんて毎日朝昼晩にLINEが来てすごくしんどかった


毎日ストレスになってて下手したら体調も悪くなっていた


瑠々花の距離感のおかしい接触にストレスが溜まってLINEも送りたくなかった


ある日

「汲田先輩❤️❤️今日お話があります⋯講義終わったらホールに来てください❤️」

とLINEがあったのだ


ホールの真ん中で瑠々花が待っていた


『瑠々花、どうしたの?』


「汲田先輩、私、汲田先輩のことが好きです

恋愛として」


『は?恋愛?同じ女に??』


「⋯はい、ずっと汲田先輩のことが好きでした。私、汲田先輩の恋人になりたいです」


『ちょ⋯馬鹿じゃないの?』


「汲田先輩、私じゃダメですか⋯?」


瑠々花に告白されたのだ



今考えたら瑠々花は私のことを本気で好きでいてくれた

私のことを本気で好きになってくれた


それなのに私は


『ダメに決まってんだろ⋯気持ち悪い、

てかあんたいちいち距離感近すぎてストレス溜まってたんだっつーーの!!!!

毎日汲田先輩汲田先輩って⋯もうストレスで頭おかしくなりそうだったわ!!!

もう私に関わんな!!!!気持ち悪い!!!』


って瑠々花に言ってしまったのだ

瑠々花は思いっきり泣いていた

その姿はまだ覚えている



今思えば私も真緒と同じ状況だったんだな


「わぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」



泣いていた瑠々花は覚えている

その日以来から瑠々花とは関わってなかった


私も近藤くんに名前を言われるまで、忘れていたけどまた思い出した


私は瑠々花にひどいことを言った

私は真緒と同じことを瑠々花にしていた


瑠々花は半年後休学していたらしい


半年後、瑠々花が急に現れたんだっけ

こう言われたんだっけ


「汲田先輩、私やっと分かりました。

汲田先輩は私のことなんとも思ってなかったんですね。失礼なことをしたと思います。

私は汲田先輩のことを今でも素敵な女性だと思ってます。

もう汲田先輩には関わりませんし姿をなるべく見せません。

苦しめてごめんなさい。嫌な思いさせてごめんなさい。

私、気持ち悪かったですよね。

本当にごめんなさい。

汲田先輩、幸せに人生過ごしてくださいね。

ありがとうございました」


と大学を中退したんだったな_______


「瑠々花は、5年前とあることで

服薬自殺をして命の境を彷徨ってました

今は元気ですが、前の瑠々花とは違って大人しくなりました」


『そうだったんだ⋯私のせいだよね、

思い出したんだ、過去に言ったこと全て』


「俺はLINEの履歴や色々調べて、復讐しようと実は5年前から笹浪蓮としてXで恋愛アドバイザーとして活動していました。


瑠々花は汲田さんのことが好きだった

恋愛として好きだった

けど汲田さんに断られた。汲田さんが原因だと思った俺は大学のOGやたくさん調べて、興信所を使ったりしてこの会社に調べて入ったんですよ」


『⋯⋯⋯っっ怖⋯

そこまで復讐に本気になってたんだ⋯


てか瑠々花、今も生きてるんだよね⋯?』



「生きてます。病院で一命を取り留めました。

けどもう恋愛はしないって言ってました」


『⋯⋯⋯⋯』


「瑠々花の仇を打つのにこの会社に入ってたくさん恋愛の勉強をして

恋愛で汲田さんを地獄のどん底まで苦しませようとこの会社に入社しました。」



『⋯⋯⋯』



「けど、状況が変わりました。

あの研修で優しくされて、好きになってしまって⋯

瑠々花を苦しめた人がこんな優しい訳がないって思ってしまって」



『近藤くん、私に復讐したくてこんなこと仕組んでたんだね⋯』


「今は違います。汲田さんが好きだから

ちゃんと想いを伝えたくて仕組んだことです」



『ごめんね⋯瑠々花』



「謝らなくてもいいです」



『だって、本気で好きになってくれたのに

女だから、男だからってそんなんじゃなくて

私だから好きになってくれたのに

私酷いこと言っていたんだよね。


真緒に想いを伝えた後に気持ち悪い、迷惑、不快って言われてすごく悲しかった。

今でも傷ついている

もう私自身は真緒の前に姿を見せないように努力している、話しかけないようにしている、

3月10日に結婚式あるんだって、結婚式が終わったら俊哉さんの転勤に着いて聞くのに台湾に行っちゃうんだって。

さっき屋上行く前にちらっと聞いちゃったの。

その結婚式は姿を出さないよ⋯

見送りも姿を出さないよ

真緒もその方が良いでしょう?


ずっと2ヶ月以上口を聞いてない、LINEもしてない、真緒は色んな人と仲良いから誰かが私のことを言ったんだと思う


それでもいいの。

相手のことを想うのが“愛”って知ったから

けど、真緒のことは

世界で1番素敵な女性だって思い続けている』



「⋯⋯⋯そうですか、それが汲田さんの失恋で出した答えなんですね」


『うん、彼女のためにももう姿は見せないよ。

けど彼女は世界で1番、素敵な女性だよ


そう思うのは悪いことかな』



「⋯⋯俺も同じ気持ちです。

汲田さんの迷惑にならないように、影から見守っていました。

汲田さんの気持ちが俺に向かなくても、汲田さんは世界で1番素敵な女性だと思ってます」



『⋯ありがとう⋯⋯⋯


あの、さ


瑠々花にあの時はごめんねって言ってもらえるかな⋯


今瑠々花の連絡先も知らないし


瑠々花が今何しているかも分からない


思い出したら私、酷いことしていた


真緒に拒絶されたからって落ち込んでいたけど、私も数年前に瑠々花に同じことをしてたんだ⋯


瑠々花は私のことを本気で好きだったから、距離感がおかしいことを沢山していたんだよね?

嫌だなって思うことをしていたんだよね?

好きだった気持ちを押し付けていたんだよね?


それって


私が真緒のこと好きだったから、全く瑠々花と同じことをしていたってことを気が付いたの



本気で私は真緒のことを好きだった


瑠々花も私のことを本気で好きだったんだ



それなのになんで、

なんで私は気持ち悪いとか関わらないでとか言っちゃったんだろう


ちゃんと瑠々花の気持ちに向き合えばよかった



真緒のことを好きになって気が付けたの。』




「汲田さんに復讐をしようとした理由は


瑠々花のその気持ちを分かって欲しかったから



けど、もう俺は復讐なんてどうでもいいです


生ぬるい復讐でした


瑠々花は今、一人暮らししています。

アパレルの仕事していますが、汲田さんを好きになったのを最後に彼氏を作ったりはしていないそうです。


汲田さん以上に好きな人がいないって言ってましたよ。

瑠々花は恋愛しないって言ってました。


まるで汲田さんに似ていますね。


汲田さんがごめんねって言っていたこと伝えておきます。」



『瑠々花、私のこと覚えてるかな』


「絶対に覚えてると思います」


『なんでそうはっきり言える?』



「⋯⋯瑠々花も最後

“汲田先輩は私の人生の中で1番素敵な人だった”

って言っていたからです


服薬自殺から一命を取り留めた時

ずっと病室で

“なんで?なんで汲田先輩は私のことを見てくれないの?”

“なんで?私じゃダメだったんだね”

“私が1番汲田先輩のことを愛しているのに”


って病室で1人泣いていました



その姿を見て心が痛くなりました」



瑠々花、1月と真緒の結婚のことを聞かされた時の私と全く同じ状況だね。


真緒を本気で好きになって

瑠々花の気持ちをやっとわかったよ


遅くなってごめんね。

そして、真緒に対する気持ちも分かったよ。


_____

“俊哉っていう名前が嫌い

理由は何故かって?

好きな相手を奪った恋敵だから”


























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