episode8 宿題

私のデスクになんで笹浪さんの宿題とある封筒が届いているの?

誰??

誰かこの中に笹浪さんが居るとしか思えない。

だけど誰がなんのために?


この封筒は人前で見るのは流石に出来なかったから密かに休憩室に入って見ることにした。


【こんにちは。こちらから失礼します。

いきなりで驚いたと思います。

最初の頃よりも元気な姿を見られるようになって私は幸せです。

話は変わりますがあなたに宿題を与えます。

『好きだった人の幸せを願う』

答えは一つだけじゃありません。

あなたの心の中次第です。

宿題が終わった頃にまた声を掛けますね。】


好きな人の幸せを願う…

そんなのまだ出来ない!!!!!!!!!

正直に思うけど、私がなんで真緒とあんな 男との幸せを願わないといけないんだ!!!!

真緒を取られて嫌な気分なんだ!!!!!!

私が幸せにしてあげたかったのに!!!!!!!

私はこんなに真緒を愛していたのに!!!!!


離婚して欲しいとかちょっと思ったりもした

俊哉さんが浮気してくれないかなって思ったりもした

真緒が俊哉さんのこともう興味無くしたって思って欲しいとか思ったりもした


けど…それは私が好きだった人の幸せを願えない

好きだった人が別の人と幸せになる姿が許せなかったんだ


最低だな私

これじゃ本当に幸せなんて訪れないね

でもいいの

真緒に少しでも見て貰えるなら、私がこんなに好きなんだよってわかって貰えたら地獄に落ちたっていい。不幸のどん底にいたっていい。


それくらい私の心は荒れていた。


だけど、その反面

こんな辛い片思いからもう解放されたんだな

こんな辛い片思いもうしなくてもいいんだな

視界にすら入らない恋もうしなくてもいいんだな


どっちの感情にも振り回されていた。

どっちの感情も辛い。


でも笹浪さん、どうやって職場に入ったんだろう。


好きだった人の幸せを願う…

なんて私に出来るのか分からない。

ただでさえこっちは好きだった人に拒絶されてしんどいのに。


___お昼休み_____

私が1人でお昼ご飯を食べるのに休憩室に行こうとすると誰かがすれ違った。


『(美波…)』


大晦日に一緒にいた友人の1人

声掛けてみようかな、でも美波も私の事怒った目で見ていたし…


『美波…!!』

[何?話しかけないで]

『大晦日の時は本当にごめん…反省している。

もう一度友達やり直し』

[無理。やり直せない。]

『え…』

[茜があんなこと言う人だとは思わなかった。

真緒の幸せを願うのが友達でしょ?

なのにあんたは蔑んだ言葉で真緒を罵った。

それが一番許せない。茜のことを軽蔑する。

もう友達として見れない。]

『そう思われても仕方がないよね…』

[うん、茜の言ったことはもう取り消せないし、私はもう茜のことは軽蔑しているよ。そんなこという人が私の友達だなんてありえない。]

『うん…』

[茜って本当に最低だよね]

『そうだよね…うん。

私もよく考えて酷いこと言ったなって思う。

本当に最低だった、私にぶつかってくれてありが』

[じゃあ最初からあんな言葉言うな!!!!!]


美波が怒鳴る。


『……ごめん。本当にごめん……』

[もう話しかけないで茜と関わると気分悪くなるから]


美波が去り際こんなことを言った。

[友達なら幸せを祝おうよ…

俊哉さんと幸せに過ごせることを願ってあげようよ…

真緒の幸せを考えてあげて…]


美波が立ち去る。

美波の声は泣きそうだった気がする。

声が震えていた、涙が出そうだった。


美波とはまだしばらく和解できないかな。

真緒と美波はいちばん仲良かったからそう思われるのは当たり前。


美波と関係が悪くなった。

最初からあんなこと言うべきじゃなかった。

私に出来ることはなんだろう?


私は今何ができるのだろう

私は真緒に対して何ができる?


やはり幸せを願うことしかないのかな

真緒のLINEと携帯番号もSNSも削除してしまった。


私にできることって何?


『……そうだ』


私はお昼休みなのに自分のデスクに走って戻る。

封筒と便箋。


『これがあれば…!!!』


私はとある方法で幸せを願おうと奮起した。







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