episode7 人物

さっきのは違う部署の近藤くん??

なんで近藤くんが…


私の会社の違う部署の近藤くんこと近藤雅人は2歳下の後輩。

あまり接点はないけど、時々仕事のことで話したりする程度。


でも、近藤くんと唯一近い接点があったのは…


__1年前研修会にて___

私が研修会場まで歩いている時だった


[はぁ…はぁ…]

誰かが息を切らしている。

会社の後輩だった。名前は知らない。


『あの、大丈夫??』

[あ、はい!大丈夫です…はぁ…はぁ…]

『急いでいたの?』

[はい…遅刻すると思って焦って走りました…]

『そうか、大変だったね?』


その姿を見て可哀想に思ったのかもしれない

私は自分用に買っていたお茶を差し出した。


[あの、コレいいんですか…?]

『うん、喉乾いてそうだったから、飲んでいいよ、後30分で研修始まるよ』

[ありがとうございます!!!]


近藤くんはすごく喜んでいた。

いいことしたかな。


そんなことを思い出しながらオフィスへ戻った。

でもさっきの近藤くんだよね…?

なんで近藤くんが近くにいたのだろう


違う部署のオフィスに目をやる。

近藤くんは斜め右のデスクにいた。

やっぱり気のせいじゃんか。見間違え。

さっきの場所なんて2分くらい歩くのに直ぐに移動できるわけないじゃんね。


その後笹浪さんに言われた言葉のおかげで少しは気分は軽くなり定時まで仕事が出来た。


また本当は好きな気持ちほんの少しだけ残ってると言っても嘘じゃない。

まだ少しだけ好き。

でももう終わった恋だから。

私が望んでいるのは恋愛感情無しに普通の関係に少しだけでも戻りたい。そうでしょ?


_____


私は自宅のリビングでゆっくりスマホでホラードラマを見ていた。

真緒に失恋してから苦手で見れなかったホラードラマが何故か平気で見れるようになった。

自分でも分からない。


怖いけど怖くない。

そんな感じ。


その時スマホが震えた。

ドラマいいところなのに何??

誰??


♪(麗華)


『!!!!!』


心臓が高鳴った、嫌な意味で


麗華は大晦日に集まった時、私がひどいことをした場にいた友人の1人だ。

私の事をその時に蔑んだ目で見てきた1人。

『そんなこと言う人には幸せなんて絶対来ないから』

『真緒が居たら傷付くよ?あんたそれわかってるの?』

と言ってきた。


なんで麗華から電話が…

あれからずっと避けられてるし話もできなかった…


『もしもし…どうしたの?』

[あ、茜、久しぶり。]

『うん、久しぶりだね』

[茜が元気にしているかなって。ただそれだけ]

『元気だよ…!麗華は?』

[私も、良かった]

『私も、ありがとう。』

[またね]

『うん、またね』


久々に麗華と話した気がする。

このまま他の友人たちと和解出来たら良いな…

なんて虫が良いけど。


私が男だったら違う結末になっていたのかな。

俊哉さんから真緒のことを奪って彼女にしていたのかな。

結婚すると分かっていても諦めずに告白していたのかな。

私が男なら、あんな男より私がずっと真緒のことを幸せにしていた。


クソビッチ

アバズレ

売春婦

全て私が真緒に嫉妬して対して言った言葉。

全て私の言葉だ。


大晦日の時他の男と笑顔で幸せそうに過ごしている真緒が憎たらしかった。

私と一緒にいる時とは大違いで凄く笑顔だったのが腹立たしかった。

私は真緒にあんな素敵な笑顔を向けられるのに苦労しているのにあの男はなんで簡単にあんな素敵な笑顔を向けられているんだ。

私にとって真緒は人生の大きな一部なのに真緒にとって私は生活の一部。

どうしてこうなってしまったんだろう。


大晦日にあんなこと言わなきゃ良かった。

女に生まれて来なければ良かった。

真緒と出会わなければ良かった。

好きにならない方が良かった。


♪【ピロン】

【少しづつ前に進めていますでしょうか?あなたが前に進んでいるのは知っています。

更に前に進む為に私からとある宿題を用意させて頂きました。何時どこでその宿題が出されるかは秘密です】


はい?宿題?

私のいる場所知ってるのかな…?


この人、なんか変わってる。


次の日の朝、急にその宿題が訪れることになるとは思いもしなかったのだ。


ガラッ


(茜のデスクのケースに笹浪からの宿題の封筒)


!!!!?????


『はっっっ!!!!!』


びっくりしすぎて社内で大声出してしまった。

笹浪さん、なんで私の職場知ってんの!!???

怖い怖い!!!!


なんで???朝のオフィスなんて誰も出勤してないでしょうか!!!

しかもなんで私のデスク分かった?

怖すぎ。怖すぎる。笹浪さん、あなた何なの??


その封筒を私は開くのだった。


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