たかが千年前の魔法が古代魔法だと?
どうか後書きもご覧くださいm(__)m
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間一髪だった。
研究室の扉を開けた瞬間、男が女冒険者をいたぶろうとしていて……。
その女冒険者が、泣きそうな表情を浮かべていて……。
このような光景を認識した後はもう、夢中で駆け出していた。
「くおっ…………!」
俺が斬りつけた男は、ギリギリのところで致命傷を免れたらしい。
腹部から血が流れ落ちているのを右手で抑えながら、怒りのこもった視線を俺に向ける。
「貴様……! いったい何者だ!」
「…………」
しかし俺はその声を無視して、壁に拘束されている女冒険者に目を向ける。
「大丈夫か? すぐ外してやるからな」
「あ……」
「――――おのれおのれ! 無視するなぁぁぁぁぁぁああ‼」
俺が拘束具に手を伸ばした瞬間、男が突っかかってくるが……。
少し強めにメンチを切ってやると、
「うおっ……」
と一気に後退していった。
この程度の圧で逃げてしまうなんてな。
結局は中途半端な覚悟しかねえ連中なんだろう。
「待たせたな。もうこれで大丈夫だ」
そう言いつつ、俺は今度こそ女冒険者の拘束具を外す。
かなり強めの鍵がかけられていたが、力技でぶっ壊しておいた。
「ありがとう……ございます……」
そう言ってしおらしく頭を下げる女冒険者。
……つーか、この女どこかで見たことある気がするんだが。
気のせいか?
「あとは俺のほうで倒しておく。あんたは自分の身を守っててくれ」
「そ……そんな!」
俺の言葉に対し、女冒険者が切迫した様子で反論する。
「その男たち、恐ろしく強いですよ! Cランク冒険者では勝ち目がありません!」
「ん…………?」
この口ぶり、この女冒険者はかなりの達人ってことか。
何回かベルフやリースと会話しているのは見た記憶があるものの、それ以外のことはてんで思い出せない。
だがまあ、もちろんいまはそれを考えている場合じゃないな。
さっき斬りつけた男はもちろんとして、この部屋には数名の不審者どもがいるようだし。
「ユキナ、悪いが後ろで下がっててくれ。一瞬で片をつける」
「は、はい……!」
背後にいたユキナがそう頷くのを確認し、俺は改めて男たちに視線を向ける。
漆黒の鎧に、操り人形のようにカクカクとした挙動。
それは他の連中と同じだが、この部屋にいる男たちに関しては、屋外にいた敵より数段強そうだな。おそらくは組織の幹部か、それに類する立場の人間かもしれない。
「ふん……愚か者が。よもや我らと戦うつもりか」
ややあって、男の一人がそう告げる。
……理由はよくわからないが、やけに自信たっぷりだな。
「千年前に全世界を震撼させた我らの力……とくと怖れるがいい!」
一人がそう言うと、部屋にいた男が一斉に魔法を発動し始めた。
全員が暗黒のオーラに包まれ、さっきまでとは比べものにならない力を感じるな。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……! と。
それに伴って屋敷全体が激しく揺れだし、そこかしこにある調度品ががたがたと揺れだしている。
「あ、あれは……!」
その光景を見た女冒険者が、なぜだか悲鳴に近い大声をあげる。
「ロアルドさん、お逃げください! あれはロストミスティック……現代では喪われた闇属性の魔法です‼」
「は……?」
「ふはははははは! 足掻いても無駄だ! 軟弱なる現代人では、古代の力に抗うことさえできぬ!」
「…………」
なんだ。よくわからないぞ。
闇属性の魔法なんて、二千年前には当たり前のようにあった魔法じゃないか。
どこに恐れる必要があるというのか。
「死ね! 我らが悠久なる神罰を喰らうがよい!」
男の一人がそう言うと、全員が一挙にこちらに手を突き出してきた。
その瞬間、俺を漆黒の箱が包み込む。
――――ヘルダイス・デスゾーン。
対象者の命を刻一刻と喰らい尽くし、しかもその体力を魔法使用者に還元するという恐ろしい魔法だったはずだ。
懐かしいな。
女に負けた腹いせにムラマサが何度も放ってきた記憶があるが……あいつの魔法は、決してこの程度ではなかった。
「はあああああああああああああ!」
俺は全身に気合いを込めると、自身を包み込む箱に容赦のない斬撃を浴びせる。
ヘルダイス・デスゾーンはたしかに強力な魔法だが、《魔法の発動》と《攻撃》までの間には明確な時間差があるんだよな。
要は閉じ込められた直後に叩き割ろうとすれば、無傷で突破できる――。
それがヘルダイス・デスゾーンの致命的な弱点だった。
「な、なんだと……⁉」
さっきまでドヤ顔で魔法を発動していた男たちは、やすやすと箱から脱出した俺に驚愕の表情を浮かべる。
「ど、どういうことだ! なぜ我らのロストミスティックを……!」
「はん。ロストなんとかとか、よくわからねえけどな」
そう言い放ちつつ、俺は戦闘の構えを取る。
「ひとつ確実なことは、ムラマサの魔法と比べりゃ、おまえらの魔法なんてお遊戯レベルでしかねえってことだ……!」
「な、なに……?」
「我らの魔法が、お遊戯だと……?」
男たちがそう目を見開いている間に、俺は突進を敢行。
棒立ちになっている男らすべてに、容赦のない斬撃を見舞っていくのだった。
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